シャビ・アロンソ監督のレバークーゼンが今季公式戦無敗を継続中 かつての名ボランチが仕込んだ「ビッグクラブ的な戦術」とは? (4ページ目)
【シャビ・アロンソはすでに大物監督の風格】
監督就任は昨季途中。比較的短期間で、練度の高い戦い方を仕込めた手腕は図抜けている。バイエルン戦のように勝負どころで戦法を微調整できる柔軟性、相手の出方を読みきった勘の良さ。リバプールの次期監督候補の噂もあるとおり、すでに大物監督の風格すら漂ってきた。
短い距離でのパスワークで相手を釣りだす戦い方は、逆に相手のプレスに呑み込まれるリスクがある。実際、DFがボールを奪われて決定機を作られる場面もあるのだが、失点はダントツで少ない(※15失点。次点はバイエルンの25失点/第22節終了時)。
リスクはある、ただしそれが弱点にならないような技術水準を保っている。ワンタッチでコントロールし、相手の圧力を受けにくい体の向きを作るなど、パスの受け渡しのディテールがしっかり詰められていて、これは名ボランチだったシャビ・アロンソならではの指導の成果なのかもしれない。
ビッグクラブとは言えないレバークーゼンだが、ビッグクラブ的な戦術を採用し、なおかつその練度でビッグクラブを凌駕。向かうところ敵なしの状態にある。
著者プロフィール
西部謙司 (にしべ・けんじ)
1962年、東京生まれ。サッカー専門誌「ストライカー」の編集記者を経て2002年からフリーランスに。「戦術リストランテ」「Jリーグ新戦術レポート」などシリーズ化している著作のほか、「サッカー 止める蹴る解剖図鑑」(風間八宏著)などの構成も手掛ける。ジェフユナイテッド千葉を追った「犬の生活」、「Jリーグ戦術ラボ」のWEB連載を継続中。
【画像】レバークーゼンの今季フォーメーション
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