シャビ・アロンソ監督のレバークーゼンが今季公式戦無敗を継続中 かつての名ボランチが仕込んだ「ビッグクラブ的な戦術」とは? (2ページ目)

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji

【常勝のビッグクラブと共通する戦い方】

 守備は前線からのハイプレスが基調。レバークーゼンは1トップ2シャドーの3人がペナルティーエリア幅を担当してプレスの最前線となっている。ウイングが左右に開いている3トップや2トップと比べると、中央部の人数が多いので明らかに寄せていく時間が短縮されていて、高い位置からのプレスが可能になっている。

 相手がサイドへボールを逃がしてもウイングバックが素早く距離を詰め、3バックはラインコントロールでコンパクトな陣形を保つ。つまり、前線のプレスに始まって、そこから間断なくボールに襲い掛かる守備ができている。

レバークーゼンの今季主要フォーメーションレバークーゼンの今季主要フォーメーションこの記事に関連する写真を見る 攻撃のスターはセンターフォワードのビクター・ボニフェイス(※現在負傷離脱中)、主に左のシャドーを担当するフロリアン・ビルツ、右側のヨナス・ホフマン。

 ボニフェイスはパワフルで技術も高く、チームの得点源。ビルツは技術、クイックネス、インテリジェンスを兼ね備えた逸材。近い将来、世界的なスーパースターになる可能性を持っている。ホフマンもビルツと似た、うまくて賢いアタッカーだ。

 左ウイングバックのアレハンドロ・グリマルド、右のジェレミー・フリンポンも豊富な運動量とスピードを生かした攻守で注目される。アーセナルから加入したグラニト・ジャカはボランチとして攻守に安定感をもたらした。

 戦術に適した編成のうまさは躍進の原動力だが、そもそもの戦術が他と一線を画していて、そこはやはりシャビ・アロンソ監督の功績が大きい。

 巧みなビルドアップとハイプレスという攻守の循環は、常勝のビッグクラブに共通する戦法である。

 マンチェスター・シティ、バルセロナ、パリ・サンジェルマン、そしてバイエルンと各国のチャンピオンはおよそこの戦法でプレーしているわけだが、まだリーグ優勝の経験もないレバークーゼンがビッグクラブ的な戦い方で成果をあげ、無敗で首位を走っている。

 堅守速攻でビッグクラブに対抗するのではなく、もはや格上として振る舞っているのだ。

2 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る