久保建英、VSデンベレで見せつけたい決定力&突破力 CL決勝トーナメントの見どころ (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

【PSGは右肩上がりの強敵】

 5番人気対11番人気。PSGホームの第1戦は、大手ブックメーカーのひとつウィリアムヒル社の予想によれば、PSG勝利が1.60倍、引き分けが4倍、敗戦が5倍だ。そういう意味では久保とレアル・ソシエダはチャレンジャーの立場で臨む。

 イ・ガンインは11月に入った頃からスタメンに定着。トップ下及び左サイドを主戦場に活躍する。右ウイングとして花開いた久保とは、同じ左利きながらプレースタイルがわずかに異なる。イ・ガンインのほうが左でもやれる分、広角だ。

 アジアカップではタフネスぶりも見せつけた。延長戦を含む5試合、ほぼフル出場を果たした。途中交代はわずかに1度。オーストラリア戦(準々決勝)の延長後半のロスタイムだった。使い詰めだったその反動からか、10日土曜日に行なわれた前戦(リール戦)はベンチ登録にも入っていない。レアル・ソシエダ戦こそがアジアカップ後、初の試合となる。

 そのPSGはグループリーグで苦戦した。2勝2分け2敗。ミランと勝ち点8で並んだが、UEFAの規定によりかろうじて通過を果たした。リオネル・メッシ、ネイマールの抜けた穴が大きいかに見えた。ところがシーズンが進むにつれ、調子は右肩上がりに転じている。金満クラブのイーメージが消え、まとまりのよい好チームに変貌中と見る。標的にされてきたこれまでとは、立ち位置が入れ替わったかのような印象を受ける。

 5番人気なのでダークホースとは言えないが、メッシ、ネイマールがいないからと、マンチェスター・シティ、バイエルン、アーセナル、レアル・マドリードらが油断すると、波乱が起きるかもしれない。

 浮沈のカギを握るのは、今季バルサからやってきたウスマン・デンベレ。右ウイングとして安定したプレーができるか。

 他方、久保建英がレアル・ソシエダを卒業するためにはPSG戦での活躍が必須になる。相手の右ウイング、デンベレに負けないプレーができるかだ。見せつけたいのは突破力と決定力だ。1トップ下でプレーしたアジアカップがそうだったように、FW、アタッカーというより、中盤選手然とした粒の小さいプレーをすると評価は上がらない。

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