久保建英不在の影響大「こんな時期にアジアカップだなんて!」レアル・ソシエダはダービー完敗 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

【久保の代役候補も移籍で去り...】

 敗れたバスクダービー、久保不在の影響は顕著だった。

 たとえば0トップに入ったオヤルサバルは戦術的センスが出色だが、前線で久保や引退したダビド・シルバのような連係に長けた選手が近い距離にいてこそ、力を発揮できる。この日は攻撃が単発で、完全に孤立していた。同じように、左サイドのアンデル・バレネチェアも、マークが久保へ分散しないことで相手に捕まって、馬力のある突破は不発だった。

 久保の代役として右アタッカーに入ったアルセン・ザハリャンに至っては、存在が消えていた。守備のスイッチを入れられず、攻撃の起点にもなれない。久保がいると、右サイドは「攻撃こそ防御なり」で優位に立てるが、この日は相手のニコ・ウィリアムズとユーリ・ベルチチェの激しいアプローチに遭い、完全に後手に回ってしまい、失点も浴びた。

 後半、業を煮やしたイマノル・アルグアシル監督はバレネチェア、ザハリャンをベンチに引っ込め、スビエタ(下部組織)出身の若いアタッカー、アルベルト・ダディエ、ジョン・マグナセライアを投入したが、まるで歯が立たなかった。ダディエはオヤルサバルの得点につながるパスを入れて面目を保ったが、局面では力負けしていた。

 本来、久保の代役はフランスの新鋭、モハメド・アリ・チョだった。しかし先日、フランスリーグのニースに1000万ユーロ(約16億円)+出来高200万ユーロでの完全移籍が決まっている。

「フィジカル面はすばらしいが、戦術的に未熟すぎる。サッカーを知らない」

 9月に現地を取材した時点で、チョについて関係者はすでにさじを投げていた。動きがめちゃくちゃで、チームにフィットするはずもなく、売却せざるを得なかった。1200万ユーロで獲得した選手だけに、マイナスは最小限に抑えられたが......。

 バスクダービーでは、GKアレックス・レミロの出場停止も痛かったと言える。今シーズン、チームのベストプレーヤーの座を久保と分け合う守護神の不在で、本来の展開ができなかった。代わりのウナイ・マレーロはスビエタ出身の実力者だが、アスレティックに対抗するパワーはまだ身に付ついていない。味方との連係でもうまくパスを引き出せず、イニシアチブをとるチームのサッカーを体現できなかった。

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