鎌田大地にとって日本代表落ちは一発逆転のチャンス ローマ戦に向け元イタリア代表がアドバイス (2ページ目)

  • フランチェスコ・ピエトレッラ●文 text by Francesco Pietrella(『ラ・ガゼッタ・デロ・スポルト』)
  • 利根川晶子●訳 translation by Tonegawa Akiko

【イタリアでは戦術が最重要】

「ああ、サッリね。彼との経験は愉快だったよ」

 そう語るのはマッシモ・マッカローネ、通称「ビックマック」。ミランの下部組織で成長し、多くのチームを渡り歩き、イタリア代表でのプレー歴もあるストライカーだ。2004年には現在のイングランド代表監督ガレス・サウスゲートとともに、ミドルスブラでリーグカップを勝ち取ってもいる。ニックネームの「ビッグマック」はイングランド時代についたものだ。

 そんな彼は2012年から2015年までの間、エンポリでサッリのチームのエースストライカーとして活躍した経験を持つ(エンポリでは101ゴールをマーク)。2014年にはサッリとともにセリエA昇格も果たした。つまりサッリズムとは何かを、肌で知っている者のひとりだ。2020年に現役を引退し、今は指導者の道を目指しているが、もちろん彼の師匠はサッリだ。

「監督になろうと思ったのはサッリのおかげだ。なぜなら彼の下でプレーすることは本当に楽しかったから」

 まずは彼に、鎌田がチームのプレーのなかになかなか入り込めないでいる問題を尋ねた。

「ひとつひとつのプレーのストーリーは別なものだが、それでも大前提として、イタリアのサッカーは何よりも戦術が基本となる。システムやフォーメーションでの動きをすごく重要視する。だから、外から来た選手にとって難しいのは当たり前だ。おまけにサッリはそれに輪をかけて、緻密で几帳面でマニアックだ。彼は、選手が自分の望むプレーができなければ、同じことを20回くらい平気でやり直させるのだが、一朝一夕にはサッリが何を望んでいるのかは理解できない。鎌田がすごく苦労しているのは簡単に想像できるよ」

 ただし、鎌田に力があることはすぐにわかったと、マッカローネは言う。

「ナポリ戦のゴールは偶然に生まれたものではない。それにドイツのフランクフルトでもベルギーのシント・トロイデンでも、彼は多くのゴールを決めている」

 では、何をすれば解決するのだろうか。

「サッリのもとでより多くプレーすることが大事だと思う。ルイス・アルベルトがケガをしていて、鎌田がアジアカップに行かないことは、彼がラツィオで大成するための大きな助けになると思う」

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