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久保建英の日本代表戦をスペインの名指導者が回顧「リーダーになるべき選手だ」 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

【ディテールが示す平凡な選手との差】

 それをもとにして、相手の裏をかける。

 タケはディテールを身につけているからこそ、すでに多くのデータを蓄積している。おかげで、たとえ抑え込まれても、プレーをキャンセルして別の選択もできる。それは何気ない違いかもしれないが、その細部でトップレベルでは周りと差がつくのだ」

 エチャリは、久保の左利きとしてのディテールにも着目していた。

「バスクでは、"そこそこ"うまい右利きよりもやや下手くそな左利きにポジションを与える傾向がある。それだけ、左利き選手はリズムが違い、差を出せるし、貴重な存在だからだ。ただし、左利きには左足でしかキックができない、という歪で偏った傾向がある。それはひとつの特徴だろうが、右足も蹴れることによって、現代のサッカーでは選択肢が増える。

 その点、タケが右足も使えるのはプラスアルファだ。

 彼が左足を得意とするのは間違いないが、右足のコントロールやキックにストレスを感じさせない。これは相手にとってはプレーが読めず、悩ましいことだろう。私がラ・レアルのセカンドチームを率いた時代、(フランシスコ・)デ・ペドロがレフティとして頭角を現すようになったが、彼も右足が使えたおかげで、スペイン代表に入るなど、長くトップレベルで活躍できた」

 エチャリは20年近く、ラ・レアルでさまざまな職務を歴任してきた。レフティを重んじるクラブで、現在のチームもミケル・オヤルサバル、ミケル・メリーノ、ブライス・メンデス、アイエン・ムニョスなど左利きは少なくない。それは伝統と言える。

 エチャリ自身もかつて小柄な左利きのドリブラーで、その特性を理解している。

「私は現役時代、小さな体だが、俊敏さと強気では誰にも負けず、ドリブルでマーカーをきりきり舞いさせる選手だった。それで仲間には『タケに似ている』なんてからかわれる(笑)。しかし実際のところ、タケはドリブルだけでなく、タイミングを変えられる選手だし、キックの質も極上で、自分とは比べ物にならないくらいに多彩な選手だよ。

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