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久保建英の成長プロセスをスペインの名指導者が解明「メッシとどこか重なる」 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

【キャラクターが一番近いのはチキ】

 久保とラ・レアルは相思相愛の関係と言えるだろう。

 かつて久保と似た選手はラ・レアルにいたのか。現地では、1980年代にチームにラ・リーガ連覇をもたらし、チャンピオンズカップ(現行のチャンピオンズリーグ)でベスト4進出(1982-83シーズン)の原動力になった左利きアタッカー、ロペス・ウファルテと比較する声も少なくない。

「ウファルテは左利きで、スピードがあるドリブラーだった。得点力に優れていた点も似ているかもしれない。ただ、何より彼はクロッサータイプ。カウンターで、引き倒そうとする相手もモノともしないスピードとパワーを感じさせる選手だった。

 その点、タケは相手のタイミングをずらすプレーを得意とし、敵に次のプレーを読ませない、あるいは読ませても、次に裏をかくようなプレーを繰り出せるのが特徴と言える。スピード、技術、ビジョンがミックスしたプレーヤーで、ひとつのフェイントでプレーを変化させられる。

 そこは、チキ(アイトール・ベギリスタイン、元スペイン代表/レアル・ソシエダ、バルセロナ、デポルティーボ、浦和レッズ)と似ているかもしれない。

 チキは非常にクレバーな選手で、テンポを生み出しながらサイドを支配できた。ラ・レアルで活躍した後、移籍先のバルセロナでさらに才能を開花させたように、攻撃重視の布陣においてアドバンテージが最大限に生かされていた。そのキャラクターはタケと一番近いだろう。

 ラ・レアルではないけど、リオネル・メッシともどこか重なるよ。もちろん、記録やタイトルなどは比較できないが、ドリブルからゴールに迫る雰囲気というのか。ふたりとも、常にゴールを視野に入れている。

 今のタケは誰にも似ていないが、誰かに似ているのかもしれない。たとえば過去のラ・レアルの選手で言えば、左利きアタッカーのアントワーヌ・グリーズマンは一見、タケとまったく似ていない。しかし、ファーポストでボールを待ち受け、ゴールに叩き込むセンスは似ていて、同じ形を持っている。おそらくタケ自身が日々能力を取り込み、成長を遂げているのだ」

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