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久保建英のプレーの質は1G1Aの前戦以上 現地紙が称賛するアタッカー像 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

【90分間、攻撃の主役に】

 24分、久保はアマリ・トラオレをワンツーで使って、抜け出させると、そのクロスをアンドレ・シウバがネットを揺らしている。残念ながら、これはオフサイドだった。さらに39分にも、アンドレ・シウバの落としたボールを受けた久保がなかに切れ込んで敵3人を引きつけながら、ミケル・オヤルサバルにパス。その折り返しをアンドレ・シウバが押し込んだが、これもオフサイドになった。

 得点こそ決まっていないが、論理的な組み立てでゴールに迫った回数は多かった。アンドレ・シウバの復帰はスペイン国王杯やチャンピオンズリーグ決勝トーナメントなどが待つ後半戦に向け、ひとつの朗報だ。

 後半に入っても、久保はチームを力強くけん引している。アブネルとの対峙から、わずかにタイミングを変える技術を見せてクロス。久保自身が自陣でボールを奪い、カウンターも発動した。さらにひとり、ふたりとマークを外してカットインし、左足で際どいシュートも放っている。

 そして87分には、最大のビッグチャンスを迎えた。久保はセンターバックのイゴール・スベルディアからのパスを受けると、側にいたマルティン・スビメンディに預ける。自身は抜け目なくゴール前に入って、ベニャト・トゥリエンテス、ウマル・サディクと渡ったボールを、エリア内から左足で得点を狙ったが、この決定機はGKに防がれることになった。

 結果として、ノーゴールで引き分けとなったわけだが、久保は90分間を通して攻撃の主役だった。

「Abanderado」(旗手)

 スペイン大手スポーツ紙『エル・ムンド・デポルティーボ』は、その表現で久保を称えている。

「最後まで野心的にフラッグを高く掲げ、振りかざし、"あらゆる局面に姿を見せた"。最終局面で、ラ・レアルはもっと(勝利するだけの)幸運に値した。終了間際、彼のシュートは勝利の1本になるはずだったが、GKルイ・シルバのすばらしいセーブで防がれてしまった」

 冒頭の『アス』紙の「身を隠さなかった」と『エル・ムンド・デポルティーボ』紙の「あらゆる局面に姿を見せた」は、表現の違いはあれども、同じ意味と言えるだろう。

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