久保建英の弟も在籍 レアル・ソシエダを支える異色の育成組織「スビエタ」とは? (3ページ目)
【スピエタ組に外国人選手が融合】
レアル・ソシエダB(セカンドチーム)は「サンセ」という愛称で呼ばれるが、現在(12月8日現在)3部リーグでバルサBを抑えて4位につけている。トップにこれだけ人材を輩出しながらの躍進(2021-22シーズンはシャビ・アロンソに率いられ、2部に在籍)で、まさに金脈と言える。たとえば17歳のセンターバック、ジョン・マルティンはバスク人好みのヘディングの強さで、ユース年代ながらBチームでもプレーし、トップ昇格も噂されている。
クラブの指導者陣も、その多くがスビエタで生まれ育っている。トップのイマノル・アルグアシル監督はその筆頭格。スビエタで育ってトップで選手として活躍し、引退後に育成に当たった後、トップを率いるようになった。コーチのジョン・アンソテギ、ミケル・ラバカも同じ系譜で、Bチームの指揮官セルヒオ・フランシスコも同様だ。
スビエタこそ、ラ・レアルなのだろう。
ただ、ラ・レアルが本当に強いのは、スビエタ組に加えて良質な外国人選手が融合し、スパークした時である。
2003-04シーズンにチャンピオンズリーグ(CL)でベスト16に進んだチームには、旧ユーゴスラビア代表ダルコ・コバチェビッチ、トルコ代表ニハト・カフヴェジ、ロシア代表バレリー・カルピンのトリオがいた。10年後の2013-14シーズン、CLに出場したチームも、チリ代表クラウディオ・ブラーボ、メキシコ代表カルロス・ベラが両輪で牽引役になった。
そして奇しくもその10年後の今シーズンは日本人、久保がいる。いつか久保の弟がトップに昇格するときは、次のドラマが待っているかもしれない――。"虎の穴"スビエタは粛々と戦士を育てている。
久保建英や鎌田大地、三笘薫など日本人選手の活躍にも期待!
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著者プロフィール
小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。
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