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久保建英がバルサの「包囲網」を打ち破る活躍 「美しき敗者」のお株を奪う (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

【ガビ、ギュンドアンも加わり包囲網を】

<左で作ったら右で仕留める、右で作ったら左で仕留める>

 ラ・レアルが信奉する変幻自在の攻撃の中心に、久保がいたことは間違いない。30分前後には、久保が3度、4度とたて続けにコーナーキックを蹴り、際どい機会を作っている。対面したスペイン代表サイドバック、アレックス・バルデに対しては常にアドバンテージをとって、自慢の攻撃力も封じていた。つまり、「攻撃こそ最大の防御なり」で、これこそバルサイズムの根幹だった。

「タケにボールを持たれたら、アドバンテージをとられてしまう。サイドバックとしては、とにかく距離をとって、彼のアクションに反応するしかないよ」

 ラ・レアルの伝説的サイドバックだったアイトール・ロペス・レカルテは、そう言って久保と対峙するサイドバックたちの気持ちを代弁していた。

「自分は両方のサイドバックをやったけど、左サイドでタケと対戦することがあったら悩ましいだろうね。一発目でどう向き合うか、は大事で、勢いを止めないと後手に回る。でも、無理にいけばいきなりカードでハンデを背負う。難しい相手だよ。左利きだけど両足で繊細で大胆なプレーできるし、たくさんのオプションがあるからね。サイドバックの立場から言えば、周りと連携して守るしかなく、"タケ包囲網"を作るしかない」

 事実、バルサもガビ、イルカイ・ギュンドアンというMFが常に久保のカットインのコースを切ってきた。ファンタジスタのジョアン・フェリックスまでがプレスバック。包囲網を張っていた。

 だが後半も、久保はその網を突き破った。相手2人を引きつけ、中央で空いたブライス・メンデスのシュートを演出。また、マルティン・スビメンディの裏へのパスに呼吸を合わせ、左足ボレーでゴールを狙う。ショートコーナーからはダイレクトで速い軌道でストンと落ちるクロスを合わせる。あるいはバレネチェアが右でキープしたボールを拾い、そのままドリブルでゴールラインから折り返したクロスも惜しかった。

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