南野拓実か伊東純也&中村敬斗か フランスリーグ「日本人ダービー」で絶好調同士が激突 (3ページ目)

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by AFLO

【伊東純也と中村敬斗の素材を若き名将はどう生かす?】

 そして、この試合の最大の見どころと言えば、やはり両監督が浸透させている緻密なチーム戦術の対決になる。何かと個人技やフィジカルバトルがクローズアップされがちなリーグ・アンではあるが、この両チームの対戦では戦術が勝敗の行方を決めるだろう。

「スタッド・ランスは直近2試合で勝利し、いいシーズンを過ごしているので難しい試合になるだろう。彼らにはすばらしいプレースタイルがあり、特に最初の30分はとても危険なチームだ」とは、大一番を控えたモナコのヒュッター監督のコメントだ。

 スタッド・ランスを率いるウィル・スティルは、少年時代からビデオゲーム『Football Manager』に熱中し、若くして監督を目指したベルギー国籍の監督。

 たぐいまれな分析力を武器に、ビデオアナリストとして数々のクラブを渡り歩き、スタッド・ランスでは30歳という若さで昨シーズンの前半戦にアシスタントコーチから監督に昇格。まだUEFAプロライセンスを取得していなかったため、クラブは1試合ごとに2万5000ユーロ(約394万円)の罰金を支払いながら指揮を任せた変わり種だ。

 それでも、いきなりクラブ史上最高の19戦無敗記録を樹立するなど旋風を巻き起こし、一躍注目を集めた青年監督は、ライセンスを取得した今シーズンから、同じくビデオアナリスト畑を歩んできた弟・二コラをアシスタントコーチに加え、そのマニアック度をさらに増している。

 注目は、3バックのモナコに対して、どのようなプレッシング・アニメーションを準備しているかだ。4バックのリールに対しては、伊東が2トップの一角に移動する4-4-2に変形して前からプレスをかけたが、おそらく3バックのモナコに対してはリヨン戦同様、3トップが相手の3バックに対峙するかたちで圧力をかけることが予想される。

 対するモナコのオーストリア人監督ヒュッターの戦術も、同じようにハイプレスを基本とする。そのなかで南野の役割は極めて重要で、前からの守備でボールを奪取し、ショートカウンターでフィニッシュに持ち込むシーンも少なくない。

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る