鎌田大地は勝ってもひとり「輪の外」...ラツィオの雰囲気に馴染むにはまだ時間がかかりそうだ (2ページ目)
【鎌田大地は低迷するラツィオの起爆剤となれるか】
試合後も鎌田は、スタンドのサポーターたちと喜びを分かち合うチームメイトと少々距離をとったところで静かに佇んでいた。フランクフルト時代であれば、輪に入らない鎌田をチームメイトの誰かが誘って輪の中に入れてくれたものだが、ラツィオではそんな感じではないようだ。
つまり、試合中もその後も、鎌田はこのチームにフィットするために少し時間を要するのだろうということが見てとれる。そんな試合であった。
鎌田がラツィオに合流したのは8月に入ってのことで、それまでは所属がなくなり個人で調整を行なっていたのだから、キャンプから積み上げてきた選手たちとは違って当然。そこに負傷が重なったので、今回は代表戦で日本に行かず、ラツィオに残ることが必要ということだ。
そもそも前回のドイツ戦やその前の活躍で、日本代表での力量は監督もチームメイトも知るところ。焦らずに日常を整える期間にするほかはなさそうだ。
「すばらしい前半を過ごし、後半の初めには勝ち越す大きなチャンスを迎えた。その後、苦しい時間帯が続いたが、最後には個性が発揮され、そこまでが報われた。今日の試合が私たちを勇気づけ、調子を取り戻す後押しをしてくれることを願う」
マウリツィオ・サッリ監督は試合後、こう振り返った。
今季のセリエAでラツィオは不調の日々が続き、CL出場チームながら16位に沈んでいる。チームは苦戦しているが、ポジションを奪わなくてはならない鎌田にとって、これはチャンスにほかならない。
何かしらここまでの流れを壊さなくてはいけない状況のなか、鎌田がチームにとって「新たな起爆剤」となることができるか──。この日の今季初のフル出場は、せめてそのきっかけにしたいところだ。
久保建英や鎌田大地、三笘薫など日本人選手の活躍にも期待!
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著者プロフィール
了戒美子 (りょうかい・よしこ)
1975年生まれ、埼玉県出身。2001年サッカー取材を開始し、サッカーW杯は南アフリカ大会から、夏季五輪は北京大会から現地取材。現在はドイツを拠点に、日本人選手を中心に欧州サッカーを取材中。著書『内田篤人 悲痛と希望の3144日』(講談社)。
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