インテルがCL決勝に駆け上がった理由 守備的サッカーを成功させた2人の選手とは? (3ページ目)
【前線のコンビは変更】
言い換えれば、出場している間はストロングポイントになっているわけだ。4バックで臨んでくる相手のサイドアタッカー2人に対しひとりで対峙する能力を発揮できている。ダンフリースとディマルコ。インテルのCL決勝進出を語る時、このふたりの活躍を見逃すことはできない。
一方、わかりやすいヒーローはアルゼンチン代表FW、ラウタロ・マルティネスだ。アルゼンチンと言えば、昨季のシーズン途中に開催されたカタールW杯の優勝チームである。そこでラウタロは初戦のサウジアラビア戦以外、途中出場に終わっている。得点も挙げることはできなかった。だがW杯を間に挟み、その優勝に気を良くしたのか、調子が激変。W杯前はリーグ戦7ゴールだった得点は、W杯後は14ゴールに倍増。CLでのゴールを加えると8対16の関係になる。W杯出場を境に覚醒したことは数字でもハッキリとわかる。
昨季、インテルのFWは、主にこのラウタロとボスニア&ヘルツェゴビナ代表のエディン・ジェコの2トップだった。しかしジェコはフェネルバフチェに移籍。代わってボルシア・メンヘングラートバッハから獲得したマルクス・テュラムがラウタロと2トップを組むことになる。
ラウタロに昨季後半のような活躍は望めるか。新加入のテュラムとのコンビが冴えるか。そして生命線とも言えるダンフリースとディマルコの両ウイングバックは今季も健在か。またその3-5-2がどれほど守備的なスタイルであるのかについても、日本で行なわれるアル・ナスル戦(7月27日)、パリ・サンジェルマン戦(8月1日)を通してチェックしたい。
著者プロフィール
杉山茂樹 (すぎやましげき)
スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。
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