パリ・サンジェルマン残留か、レアル移籍か 孤立化するエムバペをめぐる噂の真相 (3ページ目)

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

【対立を決定的にした発言】

 それもこれも、メッシ、ネイマール、マルキーニョスら南米勢力をチームでのさばらせないためだったのだ。昨年の9月にはロッカールームで数人の選手がエムバペについて「もうあいつには我慢できない」と言っていることが現地のメディアに暴露されている。

 そのフランスメディアともエムバペはうまくいっていない。

 普通であれば「フランスを代表するチームで活躍するフランス人エース」は、メディアから愛されるべき存在だろう。しかし、多くの記者がエムバペのインタビューをしたがらない。尊大で、質問をしても「お前の聞き方がよくない」と言い出し、気が向いた質問にしか答えない。フランスメディアの間では「彼は自分のためにしかプレーしていない」と思われているふしがある。

 そしてサポーターの心もエムバペから離れ出している。チームのリーダーであるにもかかわらず、試合後にサポーターに挨拶しないこともたびたびだし、世界トップの高給をもらっているくせに、CLを制することができない。挙句の果てに「レアル・マドリードに出ていきたい」などと言い出す。サポーターにとって、チームを愛さない選手はいらない。かつてフランチェスコ・トッティはローマと同義語だったが、エムバペがパリと同義語であったことは一度としてない。

 決定的だったのは先日の『フランスフットボール』誌のインタビューでの発言だ。

「どこのユニホームでもいいからCLで優勝したい」「PSGでは無理かもしれない」「PSGはバラバラで対立しており、バロンドール獲得の助けにはならない」......どれも自己中心的でチームをないがしろにした発言だった。これで彼は完全にチームとチームメイト、そしてサポーターを敵に回した。

 今、パリでエムバペを囲んでいるのはこんな環境だ。
(つづく)

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