パリ五輪世代の秘密兵器 FW二田理央がオーストリアで飛躍「得点王になりたい」 (4ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text&photo by Asada Masaki

 でも、やっぱり自分の正直な気持ちとして、ヨーロッパのサッカーを肌で感じて、自分のやりたいことと合っている気がしたし、この環境でステップアップしていくっていうことがすごく魅力的なものに感じました。ですから、自分で決断できるっていうか、完全移籍できるチャンスがあると聞いてからは、『ここに残りたい』って強く思いました」

――日本とは違い、ヨーロッパでプレーするということは、ある意味で孤独な戦いでもあると思います。

「でも、Jリーグにいると、やっぱり何もかも環境がそろいすぎていて、もちろん自分次第だとは思いますけど、自分と向き合う時間が少ないような気がして......。オーストリアに来て自炊をし始めて、自分の体のことも以前にも増して考えるようになりましたし、コミュニケーションをとるにも言葉も覚えないといけない。自分的には、そういう自分と向き合える環境のほうがいいなと思っています」

――最後に新シーズンの目標を聞かせてください。

「まずはスタメン定着したい。で......」

――で?

「得点王になりたいですね。やっぱり一番多くゴールを決めたいです」

――そう言えるだけの手応えはすでにつかんでいる、と。

「昨季終盤に復帰して、『ここに(パスを)出してくれさえすれば決められた』っていうシーンもあったし、逆に『自分がこうしておけば絶対に決められた』っていうシーンもあった。そういうのを改善して、もっと周りと連係がとれていけば、もっと点を取れるんじゃないかなって思っています」

――心なしか、前回の取材時とは顔つきも変わった気がします。

「そんな変わりましたか?」

――オーストリアでの2シーズンを経て、自信がついてきたからではないですか。

「それはあるかもしれないです。前までは『やらなきゃいけない!』っていう、どこか切羽詰まった感じがあったんですけど、今は自分がやるべきことがはっきりして、自信も出てきました。だから、今は早くサッカーがしたい。オーストリアへ行ってから(の新シーズン)が楽しみだなって思っています」


この記事に関連する写真を見る二田理央(にった・りお)
2003年4月10日生まれ。大分県出身。サガン鳥栖U-18から2021年6月にプロ契約。翌7月にオーストリアのヴァッカー・インスブルックに期限付き移籍。同クラブのU-23(3部)でプレー。その後、2022年8月、同じオーストリアのザンクト・ペルテンへ期限付き移籍。2023年7月、同クラブへの完全移籍が発表された。

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