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三笘薫のゴール&ドリブルのベスト3を鄭大世が選定。来季への課題は2つ (3ページ目)

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko
  • photo by Getty Images

【一つのプレーに固執することがなかった】

 プレミアリーグで数々のDFを手玉に取ってきた三笘選手ですが、3人だけ1対1で突破できなかったDFがいました。それがフルハムのケニー・テテ、マンチェスター・ユナイテッドのアーロン・ワン=ビサカ、マンチェスター・シティのカイル・ウォーカーです。

 テテの場合は、徹底的に縦に勝負をさせて、最終的にクロスのところでブロックするという対応でクロスをあげさせませんでした。ワン=ビサカには、縦に行こうが、中に切れ込もうがすべて食らいつかれて、ボールに触わられて止められました。

 そして一番なにもさせてもらえなかったのがウォーカーです。他の2人とは違ってウォーカーには仕掛けることもできませんでした。ボールを持った瞬間にスピードアップするスペースがないので、後ろに戻すしかない。そこの間合いの詰め方がうますぎて、勝負すらさせてもらえなかった。

 対策がされてからは、だいたいのチームが2人、3人と複数人で対応して止めてきましたが、個の力で三笘選手を完全に止められたのはこの3人だけでした。さすが世界一の化け物が集まるプレミアリーグだなと思いましたね。

 三笘選手のドリブルが知れ渡ってから、対策をされて、段々と前半戦のような突破が厳しくなってきた期間もありました。Jリーグでもルーキーが2年目に苦労するというのは往々にしてあります。

 ただ、彼のすごいところはドリブルとか、一つのプレーに固執することがなかった点です。外に開いて仕掛けることもできるし、味方を使ってワンツーで中へ入ることもできる。最初から中にポジションを取ることもできて、ポジションを変えて、受ける位置を変えながらサイドバックとのコンビネーションでゴールに迫ることもできました。

 相手に対策されているという印象は受けながらも、別の手段でチームとして崩しに参加できていました。だから個でもいけるし、コンビネーションでもいける。サイドもあれば、中に入ってもいける。色んなパターンを試しながらプレミアで通用するレベルに引き上げて、それを的確に判断して選択できたのがすばらしかったと思います。

 その成功の裏にあるのは、ロベルト・デ・ゼルビ監督との出会いであることは間違いありません。彼のコンセプトに非常にマッチし、先発で起用され続けた。それがあって三笘選手は覚醒できたと思います。

 どのチームでも三笘選手は「途中出場がもっとも活きる」というレッテルを貼られて、なかなかそれを拭えなかった。でも、デ・ゼルビ監督はそんなことは無視して使い続けて「90分間使わないともったいない」というのをやっとわからせてくれました。前任者のグレアム・ポッター監督のままでは、おそらく今シーズンのようなブレイクはなく、スーパーサブ止まりだったと思います。

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