三笘薫のゴール&ドリブルのベスト3を鄭大世が選定。来季への課題は2つ (4ページ目)

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko
  • photo by Getty Images

【課題は決定力。超決定機を半分決めれば2ケタ行く】

 来季の課題と言えば決定力です。ドリブルに関しては彼の世界観でやっていることで、僕らにはわからない領域です。だからわかるところで言えばフィニッシュになります。

 超決定機と言える場面で結構外しているので、それを半分でも決められていれば今季も余裕で2ケタ得点はできていたと思います。そうすれば、デ・ゼルビ監督は来季は15点というノルマを三笘選手に課しているんですけど、十分可能な数字だと思いますね。

 まずそれだけ決定機を作れていることに及第点が与えられるべきで、ゴールに向かうという点を取る動き自体はできているんです。そこからさらに改善するとしたら、チームメイトのソリー・マーチがやっているような動きを取り入れることですね。

 彼がやっているのは、三笘選手が縦やサイドを突破した時に、ファーサイドのポケットに走り込むことです。つまり最終ラインの裏に飛び込む動き。ボールというのはだいたいそこにこぼれてくるんですが、三笘選手は手前で待ってしまうんですよね。

 ややマイナス気味の浮いたボールに反応してヘディングというシーンは結構あったと思いますが、それは割とDFも反応しやすいんですね。それよりも圧倒的にボールがこぼれる可能性が高いラインの裏に、もっと早いタイミングで飛び込めれば簡単に点が取れる回数が増えるはずです。

 これはもはやFWの動きですが、その習慣をつければ間違いなくさらに進化すると思います。あとは本人も苦手と言っているヘディングの練習ですね。課題と言えばその2つくらいだと思います。

 日本代表で三笘選手をうまく生かせるのかと気になる人は多いと思います。森保一監督がようやく本来のポジションで先発させるようになったので、これからは間違いなく三笘選手中心のチームになっていくと思いますね。

 そもそも途中出場の時点で活躍はしているし、彼の活躍がなければカタールW杯にも出られていなかったかもしれない。過去にすでに実績があるので、代表で三笘選手を活かせるかという話ではなく、もはや三笘選手次第ですよ。

 彼が活躍すれば代表は勝つし、活躍できなかったらイマイチな雰囲気になる。それぐらいの中心選手にすでになっているわけです。プレミアリーグであれだけ活躍した選手が代表で活躍できないわけがない。

 しかもドリブラーなので、なおさら一人で行けちゃうタイプです。だから僕は代表で彼を活きるかどうかは少しも心配していません。アジアレベルで彼を止められるわけがないので、来年1月のアジア杯が楽しみですね。

鄭大世 
チョン・テセ/1984年3月2日生まれ。愛知県名古屋市出身。朝鮮大学校から2006年に川崎フロンターレに入団し、FWとして活躍。2010年からはドイツへ渡り、ボーフム、ケルンでプレー。その後韓国の水原三星、清水エスパルス、アルビレックス新潟、FC町田ゼルビアで活躍し、2022年シーズンを最後に現役を引退した。北朝鮮代表として2010年南アフリカW杯に出場している。J1通算181試合出場65得点、J2通算130試合出場46得点。

◆【画像・布陣】三笘薫のブライトンほか、2022-23シーズン 欧州サッカー躍進したクラブのフォーメーション

4 / 4

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る