三笘薫のゴール&ドリブルのベスト3を鄭大世が選定。来季への課題は2つ

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko
  • photo by Getty Images

今季プレミアリーグで見事にブレイクした三笘薫。数々のビッグプレーが見られたが、今回はシーズンを通してブライトンの試合を見てきた鄭大世氏に、三笘のベストプレーを選んでもらい、その成功のカラクリを解説してもらった。

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三笘薫のブライトンでのビッグプレーを、鄭大世氏が解説した三笘薫のブライトンでのビッグプレーを、鄭大世氏が解説したこの記事に関連する写真を見る

【ベスト3ゴール】

 ベストゴールの第3位は第15節ウルヴァーハンプトン戦でのプレミアリーグ初ゴールです。シーズン当初は途中出場ばかりで、ようやく先発で使ってもらえるようになったタイミングでした。三笘選手がその後も先発で使い続けてもらうため、もうひとつ上のレベルにいくためには結果が必要というなかで決めたゴールです。

 彼自身はヘディングが苦手と言っていますが、相手の上に乗っかりながらの難度の高いシュートでした。選手は1点目が決まると、2点目からすごく力が抜けて決められるようになるものなんです。だからその後を占う大事なゴールだったと思います。

 第2位は第19節エバートン戦で決めたゴールです。サイドチェンジのパスを、相手DFの背中側へワンタッチのラン・ウィズ・ザ・ボール。カットインでカバーの選手もかわし、最後はゴールカバーの選手の股を抜いたゴールでした。

 これはかなり難しいプレーですね。あそこで足元に止めて2タッチ目で背後に潜り込んだら、相手は間に合っていたと思います。しかもセンターバック(CB)のスライドが間に合っていない絶妙な位置に置いたので、2タッチ目でシュートを打つこともできました。だからこそCBが焦って突っ込んできて、それを簡単にかわせましたね。

 並の選手であれば焦ってシュートを打っているところを冷静にかわして、何の力みもなくインサイドキックで流し込みました。一連の流れすべてに三笘選手のテクニックが詰まった、ビューティフルゴールだったと思います。

 ベストゴールは第21節レスター戦のゴールです。左サイドでボールを受けて、カットインからファーサイドの神様コースへ決めた、説明不要というスーパーゴールですね。プレミアリーグのシーズンハイライトに載るようなトップ・オブ・トップの選手がやるゴールを、日本人の三笘選手が決めたということが衝撃的でした。

 シュート技術が相当に高くないとできないし、カットインの時にゴールに対してボールがややマイナス方向に動いているので、股関節の力もかなり必要だったと思います。それでいてまったく力みがなく、軸足にも余計な力が入っていない。股関節の動きも非常にスムーズでした。

 絶妙なコースもさることながらボールスピードもすごかったので、GKはまったく反応できませんでした。GKに話を聞くと、ああいったゴールは「絶対に取れない」と言います。「これは外れるだろうな」と、GKからするとまず触れないコースにボールが来るらしいですね。練習でもなかなかできない完璧なゴールでした。

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