伊東純也はスピードだけにあらず、南野拓実はボールロストが目立った...フランスで戦う日本人プレーヤー5人の明暗 (3ページ目)

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by AFLO

【オナイウ阿道が残した爪痕】

 また、CL予選を戦ったモナコの選手層は厚かった。

 カタールW杯後には17歳のMFエリーゼ・ベン・セギル(現在18歳)が彗星の如く台頭。元ドイツ代表FWケヴィン・フォラントも含め、シーズン後半戦から南野が任されるようになった1トップ下のポジション争いはさらに激化した。

 それでも、終盤に近づくにつれてリーグ・アンのサッカーに馴染みはじめ、出場した試合では及第点のパフォーマンスを披露するようになったことは好材料だ。

 そのなかで、プレスを浴びた時にダイレクトパスを有効活用するようになったのは来シーズンにつながる変化であり、本人もそれなりの感触を掴んだのではないだろうか。いずれにしても、初年度の経験を2年目に生かせるかどうかが重要になる。

 一方、昨シーズンはリーグ・ドゥ(2部)で10ゴールを叩き出したトゥールーズのオナイウ阿道も、自身初のリーグ・アンで難しいシーズンを過ごすこととなった。

 今シーズンのオナイウは34試合に出場。出場時間も1068分と、まずまずの成績を残したが、先発したのは9試合のみ。主に1トップとウイングの控えに甘んじることになった。

 開幕早々にエースのFWリース・ヒーリーが今季絶望の大ケガを負った。だが、その代わりに12ゴールの活躍を見せたのは、22歳の新戦力FWタイス・ダリンガだった。

 また、ウイングには新加入のFWザカリア・アブクラルが躍動したほか、2015年にアルビレックス新潟に所属したこともある新加入のFWラファエル・ハットンの活躍、さらに下部組織出身のファレス・チャイビ(20歳)の台頭もあり、ポジション争いに苦しんだ印象だ。

 とはいえ、前線の複数ポジションをこなせる起用さもあり、重要な控えアタッカーとしてフィリップ・モンタニエ監督から重用されたことは間違いない。そのなかで記録した2ゴール1アシストは、オナイウが残した爪痕のひとつと言っていい。また、クラブ史上初のタイトルとなるクープ・ドゥ・フランス(フランスカップ)獲得に貢献したことも、選手としての勲章となった。

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