伊東純也はスピードだけにあらず、南野拓実はボールロストが目立った...フランスで戦う日本人プレーヤー5人の明暗 (2ページ目)

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by AFLO

【南野拓実に22億円の価値は?】

 伊東はチーム内3位となるシーズン6ゴールを記録したほか、チーム内トップのMFアレクシス・フィリプ(6アシスト)に次ぐ5アシストを稼いだ。また、ゴールやアシストには記録されなかったチャンスメイクから、いくつもの決定機を演出した。

 それらは、最も得意とするドリブル突破からのクロス供給だけではない。ダイレクトパスやピンポイントで配球される高精度のスルーパスなど、多彩なプレーによって攻撃のバリエーションを増やした。

 シーズン序盤はバログンとの2トップコンビでゴールによく絡み、ウィリアム・スティル監督体制になってからは主に4-2-3-1の右ウイングでプレー。ポジションがゴールから少し離れたことでシュート本数は減ったが、それでも伊東がスタッド・ランスの攻撃の中心核であり続けたことに変わりはなかった。

 とりわけシーズン途中から際立っていたのが、相手がプレスを仕掛けられないほどの抜群のボールテクニックと、パス精度の高さだ。これまで伊東の主戦場は「右の大外エリア」と見られていたが、今シーズンのプレーを見ると、中央でも左サイドでも柔軟に対応できるマルチロールのアタッカーへと進化した印象だ。

 もはや伊東の武器は、スピードだけにあらず。来シーズンもスタッド・ランスの中心選手として君臨するはずだ。

 対照的に、予想以上の苦戦を強いられたのが、モナコの南野だ。

 出場試合は半分以下の18試合で、そのうち先発したのは10試合。出場時間は724分にとどまり、1ゴール3アシストという数字はアタッカーとしてあまりにも寂しい。

 しかも、リーグ上位を争う強豪モナコが1500万ユーロ(約22億円)の移籍金を支払ってリバプールから獲得した即戦力。周囲の期待を大きく裏切る格好となった感は否めない。

 特に苦労したのが、リーグ・アン特有の激しいデュエルだ。

 たとえば、伊東は相手のプレスに対し、間合いをとれれば自慢のスピードを生かしたドリブルを、間合いがとれなければダイレクトパスを有効に使うといった工夫を見せたが、プレミアリーグのフィジカルバトルを経験済みの南野は真っ向勝負で対抗。その結果、ボールロストが目立った。

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