日本代表がW杯で敗れたクロアチア1部にいる元世代別日本代表「不安だったので契約書をめちゃくちゃ読んだ」 (4ページ目)

  • 栗原正夫●文 text by Kurihara Masao
  • photo by Urata Itsuki

【日本人選手の欧州での活躍が刺激に】

 たとえば北九州では、試合前夜の宿泊は1人部屋だったが、いまは2人部屋が基本。アウェー時は、毎回バス移動がしんどいとこぼす。

「5、6時間は普通で、一番遠くて8時間くらい。後泊はないので、帰りが翌日の朝方になることもあります。勝ったあとなんて、バスのなかでガンガンに音楽がかかっていて、ほとんど寝られません(笑)。

 あと、日本にいた頃は栄養士さんをつけたり、食事に気を使っていたのですが、こっちの選手はあまり気にしていないようで、ある程度は受け入れるようにしています。僕は食べませんが、試合後のロッカーには必ず(脂っぽい)ピザが用意されていますし、遠征帰りもマック(マクドナルド)で食事を済ませるチームメイトもいますからね」

 クロアチア1部リーグで現在プレーしている日本人選手は、浦田を含め2人(元セレッソ大阪の新井晴樹がHNKシベニクに所属)。浦田は、来る時点ではヴァラジュディンがどんな街で、どんなクラブかということについてまったく知識がなかったと言うが「今は来てよかった」との思いしかないという。

「(ヴァラジュディンという)名前も聞いたことがなかったので、きっとあまり強くないんだろうなとは想像していました(笑)。サラリーは日本と比較すれば落ちますし、街で日本人に会うことはほぼない。ディナモとかハイデュクのファンは熱いし、スローインの時に雪をめっちゃ投げられて危なかったこともあります。それでも、いいか悪いかは何を求めるかによって違うし、そこまで悪くないと思いますよ」

 世代別代表でもプレーしてきた浦田のキャリアを思えば、かつてともにピッチに立った選手が、日本代表や欧州の主要リーグで活躍している現実が、精神的にマイナスに影響することがなかったのかも気になる。

「マイナスにはなってないです。むしろ、『すげぇな』って見ていますし、オレも頑張ろうって刺激になっています」

 3月には新生・日本代表がスタートしたが、サイドバックは新たな選手の台頭が待たれるポジションでもある。J3の北九州からクロアチア1部に辿り着けたのなら、何があっても不思議ではない。

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