日本代表がW杯で敗れたクロアチア1部にいる元世代別日本代表「不安だったので契約書をめちゃくちゃ読んだ」 (2ページ目)

  • 栗原正夫●文 text by Kurihara Masao
  • photo by Urata Itsuki

【EL出場権争いも】

「サッカー選手の映像やデータを分析するITサービスの『InStat』を見たというコロンビア人の代理人から連絡がありました。間に日本人の方も入っていたのですが、怪しいと思ったというか、最初はゾリャのこともあったし、コンディションを見たいと言われても、行くつもりはありませんでした。だって、現地まで行って契約できなかったら嫌じゃないですか(笑)。

 ただ、ゾリャ時代のコロンビア人のチームメイトから、代理人の情報などを聞き、最終的には迷いながらも行くことに。それが今につながっているので、結果的にはよかったんですけどね。不安だったので契約書はめちゃくちゃ読みました(笑)」

 ポジションは左サイドバック。浦田は加入直後から定位置を獲得すると、20-21シーズンにリーグ戦23試合に出場した。そのオフ、チームが降格したことで移籍を希望し、一度はチームを離れたが、冬の移籍期間に復帰すると、シーズン後半戦の11試合に出場し、1部昇格をかけた試合ではゴールを決めるなど、インパクトを残した。

 そして迎えた2022-23シーズンは、最終的に3位オシエクに勝ち点4差のリーグ5位で終えたものの、終盤まで来季のヨーロッパカップ戦出場(3位以内)を狙える順位につけるなど、健闘の目立つヴァラジュディンにおいて、主軸として27試合(うち19試合が先発)に出場している。

 浦田は充実した表情で、こう語る。

「2年前は戦力的に厳しく、降格しましたが、今年はチームとしてうまく戦いながら、昇格した去年と同様、緊張感のあるなかで試合ができているのはありがたい。スタメンで出るときもあれば、途中からのときもあります。ただ、競争があるからこその成長を感じます。

 ヴァラジュディンはザグレブから約80キロの小さな街のクラブで、予算規模も小さい。もしヨーロッパリーグに行けたら大騒ぎだったでしょうし、個人としてもいろんな可能性が広がったかもしれませんけどね」

 クロアチアといえば、昨年のカタールW杯決勝トーナメント1回戦で日本と対戦(PK戦の末にクロアチアが勝利)したことも思い出される。人口は約410万人と東京都の3分の1にも満たない小国にもかかわらず、W杯では準優勝だった18年ロシア大会に続き、カタール大会でもベスト4と躍進した。だが、国内リーグの事情はあまり知られていない。

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