マンチェスター・シティ対アーセナルで盛り上がる現地 プレミアリーグ首位決戦で優位なのはどちらか (3ページ目)
【アーセナルからうかがえる重圧】
そんな水色のスーパーカーに追い上げられているアーセナルが、足踏みを強いられている大きな要因をふたつ挙げるなら、守備の要の離脱とプレッシャーだろう。
3月16日にスポルティングと対戦したヨーロッパリーグ・ラウンド16第2戦で、冨安健洋とウィリアム・サリバという最終ラインの重要戦力がふたり同時に負傷離脱。前者はシーズン中の復帰が絶望となり、後者もおそらくシティ戦には間に合わないだろう。
彼らが不在の過去5試合で、センターバック(CB)のガブリエウ・マガリャンイスのパートナーを務めたロブ・ホールディングは、スピードに不安があるため、最終ラインを下げざるを得ない状況に陥っている。
それによりプレスの網が乱れ、相手ボール時のポジショニングが曖昧になってしまうシーンが散見される。元はCBながらライトバックで起用され続けているベン・ホワイトを中央に戻せば、右の人材がいなくなる。ミケル・アルテタ監督は恩師グアルディオラ監督との共通点が多いものの、大きな違いはほぼ一貫して4バックを用いてきたところにある。もし3バックも試してきていれば、現状にもっとうまく対処できたかもしれない。
そしてなんと言っても、今のアーセナルからうかがえるのは、のしかかかる重圧だ。2003-04シーズン以来のリーグ優勝へ向けて首位を快走してきたが、今季のプレミアリーグで平均年齢のもっとも若いスクアッドには経験が不足している。
4月16日にロンドンスタジアムで行なわれたウェストハム戦では、たとえば24歳の主将マルティン・ウーデゴールは、前半と後半で別人のようだった。序盤にチームの2点目を颯爽と決めたものの、後半にはなんでもないパスを何度かミス。アルテタ監督の掲げるスタイルはリズムが肝心で、そうした不用意なエラーはチームのテンポを損ない、流れを手放すことに繋がってしまう。
また直近のサウサンプトン戦では、プレミアリーグ史上2番目に早い27秒で失点。精神的に安定したチームなら、まず起こり得ないシーンだったはずだ。
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