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鎌田大地の移籍先として、リーガには重大な懸念材料がある たとえばアトレティコは好ましい新天地と言えるか (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Newspix.pl/AFLO

【日本人が煮え湯を飲まされてきたリーガ】

 ただし、重大な懸念材料がある。

 スペインという国では、スペイン語のコミュニケーションが基本になる。ドイツのように、献身や真面目さという人間性が尊ばれ、語学力不足が許容される程度は少ない。強い自己主張で仲間と連帯できないと、弾き出されるのだ。信じられないことだが、スペイン語を話せないだけで侮られることがある。長いシーズンでは、相当にストレスな環境になるのだ。

 そのために西澤明訓、大久保嘉人、中村俊輔、家長昭博、清武弘嗣、武藤嘉紀などスペインに来たほとんどの日本人選手が煮え湯を飲まされてきた。

 一方で久保は、18歳でのスペイン挑戦1年目から活躍ができている。幼少期をバルサの下部組織で過ごした久保は、コミュニケーションに問題がない。語学力だけでなく、性格も外向きで明るくふてぶてしく、「スペイン人以上にスペイン人」なのだ。

 日本人のなかで例外が乾貴士だった。言葉の面では苦労したが、残留が目標のクラブにあって、飛び抜けた技術の高さが愛された。当時のエイバル監督、ホセ・ルイス・メンディリバルの意向もあった。

 また、バスクのクラブは質実剛健で、スペインよりもドイツのメンタリティに近く、エイバル、アラベスでは奏功した(一方、アンダルシアのベティスでは乾は活躍できなかった。ちなみに久保が所属するレアル・ソシエダもバスクのクラブである)。

 アトレティコはスペインの首都マドリードにあるだけに、スペイン語を話せないだけでかなりのデメリットになる。同じ街のレアル・マドリードは、過去に英国のスターを何人か(マイケル・オーウェン、ジョナサン・ウッドゲイト、デイビッド・ベッカム、ガレス・ベイルなど)獲得してきたが、英語しか話せなかったことで、ほぼ全員が難渋し、最後は孤立した。

 その特殊性を考慮に入れるべきだろう。

 そして何より、アトレティコの指揮官ディエゴ・シメオネは、心からファンタジスタを好むタイプではない。

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