三笘薫が絶妙なアシスト ブライトンのゴールシーンで秀逸だったのはポジショニングとパスによる相手守備網の崩し方 (2ページ目)

  • 篠 幸彦●文 text by Shino Yukihiko
  • 西村知己●イラスト illustration by Nishimura Tomoki

Answer 
マック・アリスターが空けたレーンにダンクが入ってパスを受け、三笘へスルーパス

 三笘がオフサイドライン際で駆け引きし、絶妙な抜け出しからのアシストがすばらしいシーンだったが、その一つ前のルイス・ダンクの何気ないプレーもポイントとなった。

マック・アリスターの動きで空いたレーンに、後ろからダンクが入りパスを受けて、三笘へスルーパスを出したマック・アリスターの動きで空いたレーンに、後ろからダンクが入りパスを受けて、三笘へスルーパスを出したこの記事に関連する写真を見る ブライトンが右サイドのグロスへボールを展開したが、縦を切られたので右ハーフレーンのカイセドへ戻して作り直そうとしていた。この時、中央にいたマック・アリスターがカイセドに寄っていくようにパスを受け取りに行く。

 ストークはほぼマンツーマンでマークについていたため、マック・アリスターの動きにストークMFルイス・ベイカーがついていった。これによって、ストークの右センターバックと右サイドバックの間のレーンが大きく空くことになった。

 それを見たダンクの動きがよかった。ダンクは間のレーンが空いたと見ると、すかさずそのレーンに入ってマック・アリスターからパスを要求する。

 パスを受けたダンクは、誰もいないレーンで縦にボールを持ち出してルックアップ。それを見た瞬間に三笘がバックステップから裏へ抜け出し、ダンクから絶妙なスルーパスを呼び込んだ。

 マック・アリスターがどれだけ意図してレーンを空ける動きをしたかはわからないが、それをいち早く把握し、チャンスを創出したダンクの動きは見事。三笘の相手の裏を取る駆け引き、タイミングも完璧で、ブライトンの鮮やかな崩しからの決勝点だった。

◆【動画】FAカップ5回戦 ストークvsブライトン ハイライト
(ブライトンのゴールシーンは、1分41秒~2分21秒)

プロフィール

  • 篠 幸彦

    篠 幸彦 (しの・ゆきひこ)

    1984年、東京都生まれ。編集プロダクションを経て、実用系出版社に勤務。技術論や対談集、サッカービジネスといった多彩なスポーツ系の書籍編集を担当。2011年よりフリーランスとなり、サッカー専門誌、WEB媒体への寄稿や多数の単行本の構成を担当。著書には『長友佑都の折れないこころ』(ぱる出版)、『100問の"実戦ドリル"でサッカーiQが高まる』『高校サッカーは頭脳が9割』『弱小校のチカラを引き出す』(東邦出版)がある。

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