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「テクノロジーの力と5人交代制」「メッシとロナウドの明暗」。風間八宏が振り返るカタールW杯 (2ページ目)

  • 中山 淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by Getty Images

【印象に残ったチーム、選手】

 では、大会を終えて、風間氏が評価しているチームはどこなのか。期待を裏切ったチームと合わせて、改めて振り返ってもらった。

「やはりベスト4に勝ち残ったチームは、どこもすばらしかったし、力のあるチームでした。彼らは対戦相手によって柔軟に戦い方や力の出し方を変えることができていて、それこそがトーナメントを勝ち上がるために必要な能力だと思います。

 そういう意味では、アフリカ勢として初めて準決勝に駒を進めたモロッコが、とても印象深いチームでした。モロッコは決してカウンターだけのチームではなく、自分たちでアクションを起こせる攻撃能力もありましたし、それを遂行するためのタレントも揃えていました。準決勝のフランス戦でその力を発揮して、自分たちが主導権を握る時間帯を長く作ることができていました。

 逆に、期待を裏切ったのはドイツです。スペイン戦を見てもその実力に疑いの余地はありませんでしたし、初戦の日本戦で失敗したことが影響して焦りが出ましたが、それでもスペインを相手に実力の片鱗を見せていました。決勝トーナメントに残っていれば本領を発揮できたかもしれないという意味も含めて、もう少し見たかったチームです」

 今大会で印象に残ったチームをそのように振り返った風間氏だが、選手個人については誰を高く評価しているのか。同じように、残念だった選手も合わせて挙げてもらった。

「エムバペについては敢えて説明する必要はないと思うので触れませんが、ひとりで試合を変えられるという点では、ドイツの(ジャマル・)ムシアラが印象的でした。ゴールは決められませんでしたが、日本戦を見てわかるように、すでにドイツの攻撃の中心になっています。

 逆に、注目していたスペインのペドリとガビは、すばらしい能力を持っていることを再確認できましたが、まだひとりで試合を変えるほどの力はついていないところで、まだこれからの選手だと感じました。もちろん若いですし、これからスペインの将来を背負って立つタレントだと思うので、さらなる成長に期待したいと思います。

 もうひとつ、選手個人に関しては、大会前から最後のW杯と注目されていた2大スターのメッシと(クリティアーノ・)ロナウドの違いも感じました。モドリッチもそうですが、メッシは狭い場所で突出した技術で違いを生み出せるので、年齢を重ねても試合のなかで重要な役割を果たすことができていました。

 しかしロナウドは、どちらかと言えばスピードや身体能力を生かしたプレーで違いを生み出し、ゴール前で勝負するタイプです。ですから、その優位性を保てなくなると、なかなか違いを生み出すことが難しくなってしまいます。

 もちろん、彼の能力の高さはこれまで残してきた実績を見てもわかるとおり、別次元のレベルにあるのは言うまでもありません。ただ、プレースタイルの違いという点で、今大会では2人の明暗が分かれてしまった印象を受けました」

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