「テクノロジーの力と5人交代制」「メッシとロナウドの明暗」。風間八宏が振り返るカタールW杯 (3ページ目)

  • 中山 淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by Getty Images

【2026年大会はどうなる?】

 チームも選手個人も、さまざまなインパクトを残したカタールW杯。長いW杯の歴史に沿って見てみると、1998年フランスW杯から7大会続いた出場32チーム制のW杯としては、最後の大会でもあった。

 アメリカ、カナダ、メキシコの3カ国で開催される2026年大会からは、出場枠は48チームに増加する。風間氏はそんな拡大W杯がどのような大会になると予想しているのか。

「まだひとつのグループが3チームになるのか4チームになるのかが決まっていないとはいえ、次からは決勝トーナメントで5連勝しないと優勝に辿り着けないというレギュレーションになる可能性が高いと見られています。そうなると、まだ決勝トーナメントで勝ったことのない日本にとっては、ますます道が遠くなってしまうようにも見えます。

 アジアには 8ないし8.5枠が与えられるようなので、予選で躓く確率は極めて低くなると思いますが、その分、本大会とのギャップも大きくなる。レギュレーション次第ではありますが、グループリーグを突破するハードルも高くなるかもしれません。

 ただ、全体として見た場合、今大会には出場していないノルウェーの(アーリング・)ハーランドもW杯でプレーする可能性が高くなるので、見る側にとっては楽しみが増えるとも言えます。それも含めて、新しいW杯を楽しみにしたいと思っています」

 質の低下が叫ばれる一方で、風間氏が言うように、拡大W杯はまた新しい楽しみ方を提供してくれるかもしれない。少なくとも、4年後の2026年大会も世界中の人々が熱狂することだけは間違いないだろう。

風間八宏 
かざま・やひろ/1961年10月16日生まれ。静岡県出身。清水市立商業(当時)、筑波大学と進み、ドイツで5シーズンプレーしたのち、帰国後はマツダSC(サンフレッチェ広島の前身)に入り、Jリーグでは1994年サントリーシリーズの優勝に中心選手として貢献した。引退後は桐蔭横浜大学、筑波大学、川崎フロンターレ、名古屋グランパスの監督を歴任。各チームで技術力にあふれたサッカーを展開する。現在はセレッソ大阪アカデミーの技術委員長を務めつつ、全国でサッカー選手指導、サッカーコーチの指導に携わっている。

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る