「あの長友か?」「マラドーナとともに」「出てたら優勝できた」...イタリア人が見たカタールW杯 (2ページ目)

  • 利根川晶子●文 text by Tonegawa Akiko
  • photo by JMPA

【人気上昇中の堂安】

 ドイツが早々にグループリーグで負けたことに、多少の慰めを得たイタリア人も多かった。SNS上では実質的にドイツを追い出した日本に感謝の言葉が並んだ。何より優勝回数におけるライバル関係がある。ドイツはイタリアと同じ4回で第2位、首位のブラジルは5回だ。

「ブラジルには優勝してイタリアを引き離してほしくないし、ドイツには優勝回数を抜かれたくなかった。本当を言うと、アルゼンチンとフランスにも近づいてほしくなかったから、できれば今まで一度も勝利したことのないチームに勝ってほしかったね」(アルベルティ氏)

 そんなこともあって、モロッコはもちろん、日本の活躍はイタリアでも注目されたようだ。ジャイアントキリングは、やられた側以外の第三者にとって最大の娯楽だ。ただひとつ、イタリア人が共通して胸に抱いていながらも、悔しくて口にできない言葉があると、アルベルティ氏は言う。

「ずば抜けて好調、最強という代表はいなかった。グループリーグで全勝するチームはなかったし、決勝トーナメントに入ったらPK戦も多かった。このW杯だったら、もしイタリアが出ていたら優勝できたんじゃないかってね」

 日本代表について、イタリア人はどのように見ていたのだろうか。

 まず、長友佑都がまだプレーしていることにはみんなが驚いた。ドイツ戦のスタメンが発表されると、イタリアでは「長友ってあの長友か?」「長友まだプレーしているんだ」「長友いったい今いくつだ? 2000歳?」といったツイートが数多く上がった。

 スカイスポーツで長く解説者を務めるマウリツィオ・コンパニョーニ氏は、日本をこう評価していた。

「日本はとてもいいチームだった。グループ首位で決勝トーナメントにコマを進めたのも決してサプライズなどではないと思う。ヨーロッパのクラブでプレーしている者も多く、なじみの名前も多かった。特に鎌田大地はヨーロッパリーグの優勝メンバーだし、チャンピオンズリーグの舞台でもゴールを決めている。私は個人的には堂安律が気に入ったね」

「ドアーン」という発音で知られている堂安はイタリア人の間でも人気で、自分の応援するクラブチームにほしいという声も数多く聞かれた。

2 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る