「あの長友か?」「マラドーナとともに」「出てたら優勝できた」...イタリア人が見たカタールW杯 (3ページ目)

  • 利根川晶子●文 text by Tonegawa Akiko
  • photo by JMPA

【優勝気分で盛り上がるナポリ】

 コンパニョーニ氏は、日本の未来は明るいとも言う。

「久保建英や冨安健洋、堂安など、日本には若く優秀な選手がいる。彼らはまだ持てる力を100%出しきれてはいないように見える。彼らがもっとヨーロッパのトップリーグで経験を積めば、4年後の日本はどのチームにとっても脅威となるだろう」

 一方、元イタリア代表で、90年のイタリアW杯でプレーしたアルド・セレーナ氏が気になったのは南野拓実だという。

「彼のことは前から知っていたが、センスとスキルのある選手だと、今回、あらためて思った。それから久保、伊東純也、鎌田」

 だが、セレーナ氏がそれ以上に評価する人物がいる。

「森保一監督はこのW杯で新しいことをしてみせた。前半は強い選手を温存し、後半、敵が疲れてきた頃にフレッシュなエースを使う。今までにない斬新なアイデアだよ。日本のロッカールームのきれいさ以上に、今回驚いた出来事だよ。森保監督はサポーターへの丁寧なお辞儀とともに、日本にすばらしいスポーツ文化があることを世界中に知らせてくれた」

 さて、W杯はアルゼンチンの優勝で幕を閉じたが、イタリアで唯一優勝気分を味わっている町がある。それがナポリだ。ディエゴ・マラドーナが所属して以来、ナポリの人々にとって彼の故国であるアルゼンチンは常に特別な国だ。アルゼンチンが優勝した後、ナポリサポーターの聖地ともなっているスペイン地区のマラドーナの巨大壁画の前には何百人というナポリっ子が集まり、勝利を祝い、歌い、踊った。

「みんな天国のディエゴと一緒に喜びたかったんです」

『ナポリマガジン』のアントニオ・ペトラッツォーロ氏は言う。群衆のなかには、ナポリ女性とマラドーナとの間に生まれたディエゴ・マラドーナ・ジュニア氏もいたという。また、この勝利はナポリサポーターにある希望を与えたようだ。

「86年にアルゼンチンがW杯で優勝した直後のシーズン、ナポリは史上初めて優勝しています。現在ナポリはセリエAで2位以下を引き離して首位に立っている。ぜひ、その時の再現を、という気持ちも強いんです。ナポリの人はゲン担ぎが好きですから」(ペトラッツォーロ氏)

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