橋本拳人デビュー、柴崎岳はスペイン7季目を黒星発進...リーガ2部に挑む日本人選手の戦いが始まった (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

柴崎に求められる「勝たせる」プレー

 一方、スペインで7シーズン目になる柴崎はすでに「ベテラン」と言ったところか。デビューシーズンはテネリフェで1部へ「個人昇格」する活躍を見せ、1部ヘタフェでは定位置を確保できなかったが、2シーズンを過ごした。その後は2部デポルティーボ・ラ・コルーニャを3部に落とし、2部レガネスを2年連続で1部昇格に導くことができなかった。

 監督がころころ変わるチームで、ほぼレギュラーの座を維持している事実は評価に値する。ただ、柴崎には中盤に君臨するMFとして、「チームを勝たせる」プレーが求められる。フリーだとリーグ1部の有力選手にも比肩するプレーを見せるが、五分五分のボールを自分のものにし、全軍を奮起させるパワーやしたたかさが足りない。アラベスとの本拠地での開幕戦も、柴崎は先発フル出場したが、チームは1-2と敗れている。

 今シーズンも苦しいスタートとなったが、殻を破れるのか。

 そして、新たにスペイン2部に挑戦するのが、ウエスカの橋本だ。

 橋本は2024年6月末までロシアのFCロストフとの契約が残っている。しかしウクライナ侵攻による裁定でFIFAに1年間の自由契約を認められ、ヴィッセル神戸を経て、今回のウエスカ移籍につながった。

「いつか1部で、できるだけ長くスペインでプレーしたい」

 橋本は野心的にそう語っているが、1部昇格につながる活躍をすることで、活路を切り開けるはずだ。

 入団10日後にもかかわらず、橋本は開幕戦で後半31分から途中交代出場し、スペインデビューを飾っている。昨シーズンまで1部に在籍していたレバンテと敵地で戦ってスコアレスドローは、出足としては悪くはない。今後は、ダブルボランチの一角でのプレーが予想される。

「攻撃的なサッカーを」

 かつてスペイン代表のFWとして活躍したホセ・アンヘル・シガンダ監督は語っているが、実現のためには守備陣の奮闘が不可欠だろう。GKアンドレス・フェルナンデス、DFホルヘ・プリードなど、1部でのプレー経験のある守備的選手の貢献がカギか。

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