メッシの相変わらずの異次元ぶりを風間八宏が解説。「ボールを運ぶ時と蹴る時が同じかたち」「全部の技術を成功させてしまう」 (4ページ目)

  • 中山 淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

技術の正確性の究極系

 さらに風間氏は、メッシという天才プレーヤーのすごみを集約するような鋭い分析で、締めくくってくれた。

「止める、蹴る、運ぶ、受ける、外す、見る。普通は、そういった定義に沿ってプレーのひとつひとつを見ていくわけですが、メッシという選手に限っては、その常識が通用しません。なぜなら、メッシにはそのひとつひとつに境がないからです。

 要するに、メッシのプレーはすべての技術がシームレスで、しかもミスがないことが当たり前になっている。普通は、ボールを止めても運ぶところでミスをするなど、どこかで技術的なミスをしてしまうものです。でもメッシは、ほとんどのケースで全部の技術を成功させてしまう。

 まさしく技術の正確性の究極系。メッシが天才と言われる理由は、そこに集約されていると思います」

リオネル・メッシ
Lionel Messi/1987年6月24日生まれ。アルゼンチン・ロサリオ出身。2001年にバルセロナの育成組織に入り、17歳でトップチームデビュー。以降リーグ優勝10回、チャンピオンズリーグ優勝4回など、数々のタイトル獲得に貢献。個人でもバロンドールに7度輝くなど、サッカー界の頂点に立つプレーヤー。アルゼンチン代表では2014年ブラジルW杯準優勝、コパ・アメリカ2021優勝など。2021-22シーズンよりパリ・サンジェルマンでプレーしている。

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風間八宏
かざま・やひろ/1961年10月16日生まれ。静岡県出身。清水市立商業(当時)、筑波大学と進み、ドイツで5シーズンプレーしたのち、帰国後はマツダSC(サンフレッチェ広島の前身)に入り、Jリーグでは1994年サントリーシリーズの優勝に中心選手として貢献した。引退後は桐蔭横浜大学、筑波大学、川崎フロンターレ、名古屋グランパスの監督を歴任。各チームで技術力にあふれたサッカーを展開する。現在はセレッソ大阪アカデミーの技術委員長を務めつつ、全国でサッカー選手指導、サッカーコーチの指導に携わっている。

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