2022.08.04

橋本拳人、激動の半年を経てウエスカ入団。「いろんなことにぶち当たってきた意味は、すべて必ずある」

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

 8月3日、日本代表MF橋本拳人(28歳)はスペイン2部、ウエスカへの入団を発表した。

「スペインサッカー、楽しみすぎます!」

 日本を発つ前、そう語っていた橋本は、新たな一歩を踏み出した。地元では「チーム最大の補強」と報じられるなど、即戦力として期待され、同日、早くも練習に参加している。ダブルボランチの一角としてプレーする可能性が高い。

 契約は2023年6月末までになる。ロシアのFCロストフとの契約が2024年6月末まで残っていて、FIFAが、ロシアのウクライナ侵攻により契約を1年間停止するという措置のなかでのローン移籍となっている。つまり1年後はどうなっているかわからない。ヴィッセル神戸だけでなく(ロシアから帰国後の神戸との契約も、当初FIFAが定めた3カ月のフリー契約+2週間だった)、複数あったJリーグのクラブからの好条件オファーを受けるのが"安全策"だったが...。

「自分は、今回の選択がリスクではなくチャンスだと思っています」

 欧州でのプレーにこだわった橋本は、晴れやかな顔で言う。

「大げさかもしれませんが、この1年の契約で、自分のフットボールキャリアの終わり方が見えてくると思っています。年齢的に考えて、この先にヨーロッパでこういったチャレンジができる機会をつかむのは難しい。1部に昇格すること、もしくは1部のチームから声がかかることは簡単なことではないです。でも、チャレンジしたからこそ得られる何かがあるし、成長できるという確信があるんです」

 橋本は、異国で何をつかむのか?

E-1選手権に出場後、ウエスカ入団のためスペインに渡った橋本拳人E-1選手権に出場後、ウエスカ入団のためスペインに渡った橋本拳人 この記事に関連する写真を見る  2020年7月、橋本はFC東京で優勝争いをした次のシーズン、ロシア1部のロストフへの移籍を決断している。

「いい意味で、今までの自分を取っ払って挑みたいですね。裸一貫の自分を見てもらうというか。自分を知らない人たちの前で、その価値を高めてみたい」

 橋本はそう語って、海を渡った。あえて厳しい場所を求めていた。日常的に高いレベルで戦い、自身の殻を破りたい衝動に駆られたのだ。