レヴァンドフスキは移籍で「絶対的エース」になれるのか。バルサの復権への問題点 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by AFP/AFLO

攻撃陣の役者はそろったが...

 オーバメヤンは周りを動かしながら、自らゴールを決めることできる。周りを生かし、他の選手がゴールする戦術的プレーも苦としない。ゼロトップに近い動きと言えるか。スペースを作る動きもうまく、ボールの流れを止めず、結果的に周りの得点が増えるのだ。

 一方、レヴァンドフスキは周りに動いてもらい、ゴール前で駆け引きし、自らが仕留める力が強い。局面や対戦相手によっては、それが求められる。ストライカーが相手センターバックとやり合うことで消耗させ、布陣を狂わせ、得点に至るケースはあり、その手の有力なストライカーが必要だった。いくらかパス回しが遅くなるとしても、彼が入ってくることで単純に相手ディフェンスラインは緊張を覚える。そのストレスをかけられるだけでも、大きな利点になるのだ。

「シャビは最強時代のバルサに戻すための戦略を持っている。私はそれを助け、実現するために励むだけだ」

 レヴァンドフスキは言うが、「絶対的エースよりも有力なピース」で復権にひと役買うことになるのかもしれない。

 バルサの攻撃陣は他も役者がそろった。

 リーズ・ユナイテッドから移籍のブラジル代表ラフィーニャは、インテル・マイアミ戦でいきなり活躍を見せた。契約更新したウスマン・デンベレも右からディフェンスラインの前を横切ってシュートコースを見つける独特のドリブル(左右どちらにも滑らかに方向転換できる両利きなのでDFは飛び込めない)で、華麗なシュートを決めている。また、ケガから復活のファティもゴールに向かうコントロール精度や足の振りは、やはり破格だ。

 バルサの問題は別のところにある。

「FWの次はディフェンスに手を入れなければ」

 レヴァンドフスキの獲得を発表した後、ジョアン・ラポルタ会長も語っているように、ディフェンス陣はぜい弱さを抱えている。

 ジェラール・ピケはコンディション的にフルシーズンの稼働が厳しく、エリック・ガルシアは守備強度が致命的に低い。計算が立つのはロナウド・アラウホぐらいだ。チェルシーから移籍のアンドレアス・クリステンセンはいいバックアッパーになるだろうが、やはりセビージャと交渉中のジュル・クンデのような、次世代を担うワールドクラスがほしいところだ。

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