バルサの獲得候補...レヴァンドフスキ、ロナウドなど大物の名前が挙がるが、内実は? (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by AFP/AFLO

その場しのぎの赤字解消

 実はケシエ、クリステンセンの獲得発表が遅れたのも、現状ではサラリーキャップの問題を抱えているからだろう(チームが選手との契約に使用できる年俸総額の上限で、現在は在籍選手の年俸が上限をオーバーしている)。今のままだと、ふたりがピッチに立てない可能性さえある。

 一方、ウスマン・デンベレの契約更新も宙に浮いたままだ。移籍確実と言われていた一方、思ったようなオファーは届かなかった。年俸40%ダウンの再契約の可能性が高まっているが、予断を許さない(7月10日現在、再契約交渉は最終調整に入った)。デンベレの移籍次第で、バルサはリーズ・ユナイテッドのブラジル代表ラフィーニャを狙っていたが、デンベレ問題が決着しない限り、動けないのだ。

 すべてがこの調子である。レヴァンドフスキの獲得交渉も約2000万ユーロ(約28億円)ほどの金額面の隔たりがあり、一向に話が進まない。MFフレンキー・デ・ヨングをマンチェスター・ユナイテッドに8000万ユーロ(約112億円)で売却できたら差を埋められそうだが、こちらも交渉は暗礁に乗り上げつつある。

 財政難に喘ぐバルサは、その苦しみから一時的にせよ解放されている。テレビ放映権収入の10%を25年間分も売却し、2億ユーロ(約280億円)以上を得たという。一方、ライセンスグッズ管理会社の株も一部譲渡することを決め、100億円単位の収益になる見込みだ。これでクラブの存続も危ぶまれるほど深刻だった赤字を解消し、補強も可能になるはずだが......。

「クラブの未来を担保に入れた」

 ラポルタに会長選で敗れたビクトル・フォントがそんな苦言を呈するなど、将来の不安はむしろ強まった。

 率直に言って、バルサは待ったなし、のところまで追い込まれている。大金を得たからと言って、それを浪費すべきではないだろう。移籍違約金が1億ユーロ(約140億円)とも言われるマンチェスター・シティのポルトガル代表ベルナルド・シウバに食指を動かし、あるいは豊富な人材のいる中盤にバレンシアのスペイン代表カルロス・ソレールの獲得が考えられているが、あらためて補強内容を精査すべきだ。

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