リバプール、M・シティに死角はあるか。CL準決勝は下馬評より競った展開に (3ページ目)
英国臭がないマンチェスター・シティとリバプール
準々決勝の終わり方の話をすれば、後半43分という土壇場にバイエルンから決勝点を奪ったビジャレアルに対し、リバプールは終盤、ベンフィカにたて続けにゴールを許している。モハメド・サラー、サディオ・マネ、フィルジル・ファン・ダイクなど、エース級をスタメンから外して戦った影響が出たことは間違いないが、第1戦の貯金に頼った勝利であったことも確かだ。
ベンフィカ戦で、喜びが少ない勝利を収めたリバプール。ビジャレアルに勝っても同じパターンになりそうだとなれば、モチベーションは低下する。片やビジャレアルはその逆。当たって砕けろ、怖いものなし、だ。この差がスコアにどう反映するか。
ビジャレアルの強みはラテン人独得のうまさにある。準々決勝で対戦したバイエルンにはない魅力を備えていた。それを目の前にしたバイエルンは慌てた。自分たちにはないリズム、テンポに裏打ちされた技巧に困惑した。
しかし、リバプールはバイエルンとは違う。ラテン色も立派に備えている。ブラジル系スペイン人のチアゴ・アルカンタラもいれば、ブラジル代表のフィルミーノもいる。ポルトガル人のディオゴ・ジョタもいれば、コロンビア人のルイス・ディアスもいる。ビジャレアルが特徴的な集団に映らない可能性がある。
それはシティにも言えることだ。バイエルンがまさにドイツ臭いチームだったのに対し、リバプール、シティは特段、英国臭くない。多国籍感、無国籍感で溢れている。世界選抜チーム的な匂いがする。懐の深い、対応の幅が広そうな、弱みの少ないチームに見える。
シティとリバプール。ブックメーカーのCL優勝予想に基づけば、両者は全く互角だ。ブックメーカーが予想を放棄した状態にあると言いかえることができる。こうした例は滅多にない。
記憶を辿れば、ローマのオリンピコで行なわれた2008-09シーズンの決勝、バルセロナ対マンチェスター・ユナイテッド以来だと思う。
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