リバプール、M・シティに死角はあるか。CL準決勝は下馬評より競った展開に

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Reuters/AFLO

 マンチェスター・シティ対レアル・マドリード(第1戦4月26日)。リバプール対ビジャレアル(第1戦4月27日)。チャンピオンズリーグ(CL)準決勝は、2試合ともイングランド対スペインの対戦になった。

 下馬評で優位に立っているのはイングランド勢だ。スペインリーグ7位のビジャレアルに対し、リバプールが優位に立つことは衆目の一致するところだが、シティとレアル・マドリードは、ともすると競った関係に見える。そこで、シティが断然優位とするブックメーカー各社の予想を見せられると、そこに死角はないものかと逆に探りたくなる。

 4月26日、エティハド・スタジアムで行なわれる第1戦。たとえば最大手のウィリアムヒル社は、ホームチームの勝利に1.5倍、引き分けに4.33倍、レアル・マドリードの勝利に6.50倍のオッズをつけている。単純に言えば1対4.3の関係だ。筆者には、ホームの利を加えても、1対3がいい線のように映るが、ブックメーカーはお膝元である地元チームに盛りすぎている印象だ。

リバプールのユルゲン・クロップ監督(左)とマンチェスター・シティのジョゼップ・グアルディオラ監督リバプールのユルゲン・クロップ監督(左)とマンチェスター・シティのジョゼップ・グアルディオラ監督この記事に関連する写真を見る CL準決勝は決勝と違い、一発勝負ではない。初戦で失敗しても第2戦で立て直しがきく。W杯などより実力が結果に反映されやすい。しかしシティは、ここまで有利と予想されると硬くなるだろう。「絶対に負けられない戦い」の呪縛に陥りやすい。受け身になりやすいのだ。逆に、必要以上に弱者と見なされたレアル・マドリードは、なにくそと挑戦者に徹することができる。勝利のプレッシャーから解放される。その空気感はスタンドにも波及する。観衆の反応をとおして選手のプレーにも影響が出る。

 準々決勝のアトレティコ・マドリード戦(第1戦ホーム1-0、第2戦アウェー0-0)が、まさにそんな感じの試合だった。負けなくてよかったと、いまごろジョゼップ・グアルディオラ監督以下は、ほっと胸をなで下ろしているに違いない。よく考えれば、アトレティコにもクオリティの高い選手はたくさんいた。ひとりひとりをつき合わせれば、互角と言ってもよかった。しかし、下馬評ではシティが、ブランド価値に後押しされるかのように、断然優位に立っていた。

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