南野拓実に決勝出場のチャンスあり。CLを勝ち抜いた優勝候補と注目の選手たち (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Abaca/AFLO

【南野のポジションの適性も明らかに】

 3番手につけるリバプールには、日本人唯一のチャンピオンズリーガー南野がいる。第6節のミラン戦では後半の追加タイムに、マックス・ウォルトマンと交代するまで、90分以上ピッチに立った。また、その前の第5節のポルト戦ではフルタイム出場を果たしている。事実上の消化試合とはいえ、この経験は大きい。リバプールがCL決勝に進出し、南野がそのピッチに立つ可能性はどれほどか。CLはプレミアとは異なり、選手交代5人制で行なわれるので、チャンスは膨らんでいる。

 その2試合通しての南野の印象は、そつなくこなしたという感じだ。ミラン戦は4-3-3の左インサイドハーフ、ポルト戦は0トップと呼ぶべきCFでの出場だった。後半のなかばから右ウイングに回ったが、左ウイングで出場することが多い日本代表とは、少しばかり異なる姿を見せた。

 ともすると、どこでもできる多機能的な選手に見えるが、4-3-3ならばインサイドハーフか0トップが適任であることが、再確認されたような気がする。日本代表では左ウイングを任されても、居心地の悪さを覚えるのか、真ん中付近で構えたがるが、リバプールでは少なくともポジションには忠実だった。苦手そうな右ウイングに回されても、ポジションを守り、相手の左サイドバックに圧力をかけようとした。日本代表で許されてもリバプールでは許されないものが見えた気がした。

 リバプールでは、その右ウイングを担当するモハメド・サラーの好調さが目立つ。次回のバロンドールの有力候補と筆者は見るが、今年の投票ではなんと7位に沈んだ。ロベルト・レバンドフスキを抑えてリオネル・メッシが受賞したことが、騒ぎになっているが、サラーの7位にはそれと同じくらい違和感を覚える。

 このサラーに代表される左利きの活躍が目立ったグループステージでもあった。第6節の対バルサ戦、前半43分に正面からズドーンとミドルシュートを蹴り込んだレロイ・ザネ(バイエルン)。前述のアントニー(アヤックス)。そして極めつきはマンチェスター・シティで、ベルナルド・シウバ、フィル・フォーデン、リヤド・マフレズ、オレクサンドル・ジンチェンコと、スタメンクラスの左利き選手を4人も擁している。

 PSGのメッシ、アンヘル・ディ・マリアも忘れるわけにはいかない選手になるが、相手の逆を取るプレー、あるいは左右のバランスを整えることが勝利の近道だと考えると、決勝トーナメントは、この左利きの選手たちの活躍に注目してみたくなる。

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