堂安律「一度は構想外」から復活。衝撃のヒールキックでオランダ人の度肝を抜いた

  • 中田徹●取材・文 text by Nakata Toru
  • photo by AFLO

 今からおよそ1カ月前のことだった。

 多くの負傷者を抱えるPSVのロガー・シュミット監督に対し、「主力選手の半分近くが離脱し、特に攻撃陣が手薄になってしまいましたが、PSVは大丈夫でしょうか」というメディアからの問いがあった。

「ぜんぜん、問題ありません」とシュミットは言った。

「我々の選手層は厚く、誰が試合に出てもパフォーマンスに遜色はありません」

 シュミット監督の返答は、世界中の指揮官が用いる"決まり文句"のように思えた。

かつての輝きを取り戻した堂安律かつての輝きを取り戻した堂安律この記事に関連する写真を見る しかし今、PSVは小気味よい攻撃サッカーで相手を悩ませ、見る者を楽しませている。人呼んで「驚異のBチーム」。

 一度は構想外になったMF堂安律、FWブルマ、MFエリック・グティエレス、MFマウロ・ジュニオールに加え、レギュラーながらも大きな批判を浴びていたMFイブラヒム・サンガレ、今季PSVに加入したもののゴールがなかなか決まらなかったFWカルロス・ヴィニシウスの6人がモチベーションを取り戻し、名手MFマリオ・ゲッツェを交えてエンターテインメント性の高いサッカーを披露している。

 PSVの「驚異のBチーム」は、11月4日のヨーロッパリーグ(EL)グループステージ第4節モナコ戦(0−0)の時点で何か兆候のようなものが見られた。だが、11月7日のオランダリーグ、フォルトゥナ・シッタルト戦で快勝(4−1)したあたりから、現在のチームが形作られたのではないだろうか。

 モナコ戦も含めた11月以降のPSVは、リーグ戦で3勝1分、ELで1勝1分という好成績を残し、10月に「Aチーム」がアヤックスに大敗(0−5)を喫した時の悪いイメージを払拭してしまった。

 オランダ国内メディアは頻繁に、PSVのことをポジティブに扱うようになった。毎週日曜日の夜遅く(番組開始時間は22時半前後と正確に決まってない)に放映されているNOS局の『ストゥディオ・フットボール』を3回ほど振り返ってみよう。

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