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欧州サッカー「監督玉突き」を引き起こすのは優勝したのに退任のコンテ (2ページ目)

  • パオロ・フォルコリン●文 text by Paolo Forcolin
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

 スクデットという目標にたどり着くと、コンテは若きスティーブン・チャン会長(蘇寧グループのトップの息子)に、すべてを明確にするよう迫った。そしてこの話し合いの席で、厳しい現実が明るみに出た。アメリカのファンドから資金を得られることにはなっていたが、"大盤振る舞い"の時代が終わってしまったのは明白だった。

 これからは倹約を胸に進まなければならない。チャンピオンズリーグを戦い、リーグで連覇するための新たな大物補強はできない。そればかりか、今持っているカードを切り売りし、1億ユーロ(約130億円)を捻出しなればならない状況だった。

 それはコンテが作り上げてきたチームの主力を手放すことを意味していた。アクラフ・ハキミはパリ・サンジェルマン(PSG)に6000万ユーロ(約78億円)で売られるほか、ジョアン・マリオも800万ユーロ(約10億8000万円)で放出される。しかし、放出はこれでは終わらないだろう。

 コンテはチームの「金に糸目をつけない」という計画を聞いてインテルに来た。彼は裏切られたと感じたことだろう。こうした問題で揺れるチームを率いることは、彼のスタイルではない。

「私は今後、何年も勝利し続けられるようなチームを作った」

 コンテは話し合いの席でこう言った。

「うまく機能しているメカニズムを壊したくない。しかしそれができないというなら、最初に私が出て行こう」

「円満な離婚」を望むインテルとコンテの取り決めは素早く決まった。蘇寧は補償金として年俸の半分と優勝のボーナスの合計750万ユーロ(約9億8000万円)を支払うことを提案。ただし、2021-22シーズンに関して、コンテはイタリアのチームを率いてはいけないという条件をつけた。これは両者にメリットがある取り決めだ。インテルは約600万ユーロ(約7億8000万円)を節約できるし、コンテは報酬がもらえたうえ、イタリア以外のチームのベンチにならば座ることができる。

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 コンテの辞任で一番ショックを受け、戸惑っているのは、何よりも選手たちだ。彼らの多く(特にロメル・ルカクとニコロ・バレッラ)は、コンテがいたからこそインテルに移籍してきた。突然、捨てられたような気持ちだろう。コンテがいれば、今後も多くの勝利を彼らは手にできたはずだ。彼らは途方に暮れている。

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