CLで大活躍、カンテのボール奪取力を分析。異彩を放つその能力に迫る
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サッカースターの技術・戦術解剖
第61回 エンゴロ・カンテ
<バロンドールの有力候補に>
「地球の7割は水だが、残りの3割はカンテにカバーされている」
エンゴロ・カンテ(フランス)の名が世界に知れ渡ったレスター時代、こんなジョークが飛び交っていたものだ。
CL決勝トーナメント7試合中4試合でMOM。際立った活躍を見せたエンゴロ・カンテ"ティンカーマン" (下手な修理屋)ことクラウディオ・ラニエリ監督(イタリア)の下、ジェイミー・ヴァーディー(イングランド)、リヤド・マフレズ(アルジェリア)、岡崎慎司(日本)、そしてカンテといった非エリート軍団が躍動し、レスターは奇跡のプレミアリーグ優勝を果たした。2015-16シーズンだ。
翌16-17シーズンには、移籍したチェルシーで優勝。個人的なプレミア連覇を達成している。2018年のロシアワールドカップではフランス代表で優勝。2018-19シーズン、UEFAヨーロッパリーグ(EL)優勝。そして2020-21シーズン、マンチェスター・シティを破ってUEFAチャンピオンズリーグ(CL)優勝。6年間でビッグタイトルを総ナメにしたことになる。
ELを獲った2018-19は、マウリツィオ・サッリ監督(イタリア)の下でインサイドハーフにポジションを上げている。サッリ監督がナポリから連れてきたジョルジーニョ(イタリア)が中盤の底でゲームをつくるスタイルだったからだ。カンテは慣れないポジションに苦労したが、徐々にフィットしてリーグ36試合に出場、そのシーズンのELの優秀選手賞も受賞した。
2020-21は、フランク・ランパード監督(イングランド)の下で出番を失いベンチウォーマーとなっていたが、トーマス・トゥヘル監督(ドイツ)に交代すると主力として復活。CL決勝ではマン・オブ・ザ・マッチ(MOM)に選出された。準決勝のレアル・マドリー戦2試合につづく3戦連続、さらにラウンド16以降の7試合で4回も選出された。
今や、バロンドールの有力候補である。
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