2021.06.02

久保建英の前にある3本の道。スペインでも注目のこの夏の去就は?

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 松尾/アフロスポーツ●写真 photo by Matsuo/AFLO SPORT

「久保の夏」

 スペイン大手スポーツ紙『アス』はWeb版のトップ記事で、久保建英(19歳)の去就に注目している。

 2020-21シーズンのビジャレアル、ヘタフェというクラブ選びは、久保自身も後悔の言葉を口にしているように、成功とは言えなかった。スペインを代表するリアクション戦術の監督、ウナイ・エメリ、ホセ・ボルダラスという二人の麾下で、豊かな発想力と高い技術を限定的にしか見せることができず、「守備が弱い」という指摘を受けた。

 それでも、ヘタフェの1部残留を決めるゴールを叩き込み、「星を持った選手」として帳尻を合わせている。久保への評価は上がったとは言えないが、下がってもいない。正念場で試合を決めるプレーをし、チームを勝利に導ける選手は、スペインでは重宝されるのだ。

 久保はこの夏、どこへ行くのか――。

日本代表の合宿に参加中の久保建英。ヘタフェの監督交代により、残留の目も出てきた日本代表の合宿に参加中の久保建英。ヘタフェの監督交代により、残留の目も出てきた  久保の新天地選びで大事なのは、何よりも監督だろう。ひとりのプロ選手として、どんなチームでも最大限に力を発揮するのは理想と言える。一方で、適材適所という考え方もひとつだろう。「頭上をボールが飛び交い、帰陣して肉弾戦を求められる」。そのような受け身のサッカーを前提にした指揮官のもとでは、コンビネーションで相手を崩し、ゴールに迫る利点を十全に出せない。

 その点、久保に適合するクラブは三つに分けられる。

 一つ目は、戦力で勝って相手を押し込めるチーム。二つ目は攻撃的な「ボールありき」の戦術を奉じるチーム。そして三つ目が、一昨シーズンに在籍したマジョルカのように、自らが中心となってプレーできる下位クラブだ。

 一つ目としては、パス所有先であるレアル・マドリードが最たるものだろう。世界的な戦力を誇り、個人で引けを取ることはない。トップレベルの選手の集団だ。

 久保は、レアル・マドリードでプレーする実力的基準を満たしているだろう。しかし「ヴィニシウス・ジュニオールがスペイン国籍を取得し、EU外選手枠が空いたら」(近日中に取得する可能性もあるという)というのが久保復帰の条件。つまり、序列はヴィニシウスよりも下。実績も含め、主力としては考えにくい。