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短パンのカンポス、ロンパンのイギータ...攻撃的で危なっかしい異能GKたち (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 赤木真二●写真 photo by Akagi Shinji

 後にプレッシングフットボールを提唱したアリゴ・サッキに「それが登場する前と後でサッカーの価値観は180度変わった」と言わしめた「サッカー界最大の発明」として、サッカー史に記されたトータルフットボール。GKヨングブルートはその象徴的な存在と言えた。

 トータルフットボールの進化形とも言われるプレッシングサッカーをひっさげて、アリゴ・サッキが来日したのは、西ドイツW杯の15年後。1989年末のトヨタカップだった。アリゴ・サッキ率いるミランのトヨタカップ(現在のクラブワールドカップ)の相手は、コロンビアのアトレティコ・ナシオナルだ。

 戦前の予想ではマルコ・ファン・バステン、フランク・ライカールトらを擁するミラン有利が圧倒的だったが、試合は延長にもつれ込む大接戦となった。

 そこで存在感を最大限に発揮したのは身長176センチ、長ズボンをはいたナシオナルのGKレネ・イギータだった。前回のこの欄(「イニエスタをさらに多彩にしたコロンビアの怪人。敵ボールは奪わない」)で触れた、同じコロンビア人選手のカルロス・バルデラマ同様、1度見たら忘れない異様なヘアスタイルに加え、前出のヨングブルートを凌ぐ広範囲な動きに特徴があった。

 ミランのエース、ファン・バステンがペナルティエリア外でボールを保持している際にも、その足元に食らいついていくなど、超然としたプレーを随所に発揮。試合は延長後半13分、交代で入った伏兵アルベリゴ・エバーニのFKで、ミランが辛勝したが、国立競技場を埋めた日本人ファンの目をさらったのは、敗者であるナシオナルのGKだった。

 イギータは、翌1990年のイタリアW杯にバルデラマとともにコロンビア代表として出場。グループリーグを通過すると、決勝トーナメント1回戦でカメルーンと対戦した。   

 試合は0-0のまま延長戦に突入。その後半1分、カメルーンのエース、ロジェ・ミラに先制弾を許し、0-1の状況だった。そこで事件は起きた。先制弾の2分後、ペネルティエリアを飛び出し、ドリブルで攻め上がろうとしたイギータ。そこに驚異の38歳と言われたロジェ・ミラが襲いかかったのだ。

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