2021.05.20

短パンのカンポス、ロンパンのイギータ…攻撃的で危なっかしい異能GKたち

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 赤木真二●写真 photo by Akagi Shinji

異能がサッカーを面白くする(最終回)~飛び出すGK編
(1)から読む>>

 サッカーのユニフォームには流行がある。たとえばサッカーパンツ。かつてはずいぶん短かった。しかしその一方で、"ロンパン"と言われる丈の長いサイズのものもあって、学生服のボンタンに通じる、ツッパリ系の選手が好んで使用していた印象がある。それが現在では標準的な丈との位置づけになっている。当時のロンパンが、その後の一般的な寸法になり、市民権を得ようとは、想像だにしなかった。

 GKのパンツはそれ以上の変わりようだ。かつては長ズボンスタイルのGKを普通に見かけたものだ。それがあるときから激減。フットサルではいまなお見かけるものの、フルコートの11人制では、よほど冷え込まない限り、GKも短パンで年間を通そうとする。

 だが、さらにその昔は短パンだった。筆者の子供時代の話になるが、それがあるときから、長ズボンスタイルが目立つようになった。当時、定期的に放送される唯一の海外サッカー番組だった『ダイヤモンドサッカー』を通して見る、欧州サッカーの影響が大きかったものと思われる。

1987年から99年までコロンビア代表のGKを務めたレネ・イギータ1987年から99年までコロンビア代表のGKを務めたレネ・イギータ  たとえば、1974年西ドイツW杯で準優勝したオランダのGKヤン・ヨングブルート。

 大男揃いの長身国として知られるオランダにあって、身長179センチというけっして高くない上背に、目がいった。スウェット風の長ズボンをはいてプレーすることもしばしばで、そのリラックス感を漂わせる独得の風貌に斬新さを覚えたものだ。

 ペナルティエリアの外に飛び出し、フィールドプレーヤー然とリベロのように構えるそのプレーも、異彩を放っていた。フットワークの軽いGK。よく言えばそうなるが、せわしないというか、ドシッと構えず、慌てふためきながらプレーすることになるので、その長ズボン姿でのプレーは必要以上に危なっかしく映るのだった。

 だが、思わず懐疑的になるこのヨングブルートの動きには、リヌス・ミヘルス(当時のオランダ代表監督)が唱える革新的サッカー=トータルフットボールのコンセプトが集約されていた。