2021.01.20

ズドンと一撃、観客震撼。中田英寿からロベカルなど強シューターの系譜

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 山添敏央●写真 photo by Yamazoe Toshio

異能がサッカーを面白くする(1)~強シューター編

日本代表やセリエAで強烈なロングシュートを決めていた中田英寿 その昔、ヤクルトスワローズの遊撃手だった池山隆寛は、「ぶんぶん丸」と呼ばれていた。バットを思い切り振り回す打撃フォームに由来した異名だ。ゴルフではフルスイングすることを俗に「マン振り」と言う。そしてブライソン・デシャンボーなど実際に飛距離が出る人は、「飛ばし屋」と称される。テニスならば「ビッグサーバー」がいる。220~230キロのスピードを出せるとされるミロシュ・ラオニッチ等が、その代表的な選手になる。

 サッカーで言うならば、強シューターだ。足の甲(インステップ)でどれだけパンチの効いたキックを繰り出せるか。日本人ナンバー1は釜本邦茂さんだろう。引退して35年以上経過するが、釜本さんを越える強シューターは出現していない。この間、右肩上がりの成長を遂げてきた日本サッカーだが、シュート力だけは成長分野から外れていた。

 あえて挙げるなら、次の4人になる。日産自動車、清水エスパルスで活躍した長谷川健太(現FC東京監督)、名古屋グランパスなどで活躍した左利きの元日本代表、平野孝。そして中田英寿と本田圭佑になる。

 中田のキックが光った試合としてまず記憶に残るのは、雨中の一戦となった2001年コンフェデレーションズ杯準決勝オーストラリア戦(6月7日)だ。決勝ゴールとなったFK弾は、濡れたピッチ上を水切りショットのごとく滑るように伸びていった強烈な一撃だった。

 その約1カ月前には、強烈なキックで欧州を震撼させていた。

 デッレ・アルピで行なわれたユベントス対ローマ戦(セリエA第29節)。後半途中からフランチェスコ・トッティに代わって出場した中田が放った2本のミドルシュートだ。1本目はネットを揺るがすゴールとなり、2本目は、ユーベGKエドウィン・ファン・デル・サールにセーブされたものの、ヴィンチェンツォ・モンテッラがプッシュ。中田のこの2発で、ローマはそこまで0-2でリードされていた試合を2-2の引き分けとした。