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短パンのカンポス、ロンパンのイギータ...攻撃的で危なっかしい異能GKたち (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 赤木真二●写真 photo by Akagi Shinji

◆レアルで先発抜擢、ミス連発、お払い箱...第2GKという生き方

 イギータ対ロジェ・ミラ。この野性味溢れる対決を制したのは後者で、その結果、0-2としたカメルーンは、勝利に大きく前進した。しかしその後、コロンビアはバルデラマの鮮やかなラストパスが決まり1-2に迫る。残り10分強。試合は緊迫を保ったままタイムアップを迎えたが、カメルーンらしさ、コロンビアらしさが発揮された、隠れた好試合と言えた。

 筆者は、前回のこの欄で、何度となくコパ・アメリカの取材に通った動機として、バルデラマ見たさを理由に挙げたが、イギータ見たさもそのひとつだった。だが、1993年のコパ・アメリカ(エクアドル大会)では、そんなイギータの前に強烈なライバルが現れた。

 コロンビアは準決勝で、アルゼンチンに0-0から延長PK負け。イギータを凌ぐ異端のGKは、そのアルゼンチンと決勝で対戦したメキシコにいた。

 ホルヘ・カンポスだ。メキシコは世界においては日本と並ぶ低身長国。それでいながら毎度好チームを編成。W杯では日本の上をゆく成績を収めている。日本にとって目標とすべき国になるが、メヒア・バロン監督率いる1993年のメキシコは、中でも秀逸な、美しいパスワークが光るチームだった。

 1-1で迎えた後半29分、ディエゴ・シメオネが狡賢いプレーで獲得したスローインを、ガブリエル・バティストゥータが蹴り込み、アルゼンチンが2-1で勝利した決勝戦だったが、そこからのラスト15分強は、見応えがあった。理由は、GKカンポスが持ち場を離れ、ほぼFWの位置でプレーしたことにある。

 通常、GKが相手ゴール前に上がるのはラスト数分という段で得たCK等のセットプレーで、それが終了すれば、自軍のゴールに戻るものだ。だが、カンポスの上背は168センチ。その分、ロジェ・ミラにボールを奪われたイギータとは比較にならないほど、足技が巧かった。

 できれば夜道ですれ違いたくない風貌をしていたイギータに対し、カンポスは短パン姿がよく似合う、少年のような爽やか系。フィールドプレーヤーに負けない足技を備えていたので、エンタメ的にも申し分ない選手だった。

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