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短パンのカンポス、ロンパンのイギータ...攻撃的で危なっかしい異能GKたち (4ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 赤木真二●写真 photo by Akagi Shinji

 カンポスはGKとしてではなく、最初からFWとして出場した記録も残されている。メキシコ代表キャップは130。これはGKとして同国最多の数字になる。メキシコサッカー史に名を刻む小柄な名GKだ。

 翌1994年も、筆者は風変わりなGKを目撃している。バルセロナの2人のGKだ。カルレス・ブスケツとフレン・ロペテギ。このシーズン、バルサはそれまで正GKを務めていたスペイン代表のアンドニ・スビサレッタがバレンシアへ移籍。その下でセカンドGKを務めたブスケツと、このシーズンからバルサ入りしたロペテギが正GKを争うことになった。

 ユニフォームはともにスウェット風の長ズボンだった。一見、ヨレヨレというかダボダボで、バルサという一流クラブに相応しくない姿に見えた。プレースタイルも似ていた。カンポス的というかイギータ的というか、サッカーのスタイルを考えると、ヨングブルートにも似ていた。

 正確に言うならば、この2人のプレーを見て、ヨングブルートを想起した格好だ。ペネルティエリアを飛び出し、フィールドプレーヤー然と構える姿。仕事量が多いために、あたふたしながらプレーする姿。そして時に、普通のGKはしそうもないミスを犯す姿は、すべて一段高いレベルのサッカーを目指そうとするが故の産物だった。ヨハン・クライフ(当時の監督)が、トータルフットボールを意識させるために、2人に敢えてヨングブルート的なプレーを要求したのである。

 バルサのサッカーはその結果、常に不安定だった。しかし、そこに余裕というか、独得の美学が鮮明に浮き彫りになるのだった。クライフは、その翌シーズン、バルサの監督を途中で解任された。だが、筆者には、この2人のGKがゴールを守った1994-95及び1995-96シーズンのサッカーが、バルサ史において最も記憶に残っている。

 高いバックラインを維持し、その背後をリベロ然としたGKがカバーしたサッカー。その不安定な今日性は、いまなお称賛したくなるのだった。

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