小野伸二以上。歴代世界最高の「両利き」プレーヤーはベルギー人FW (4ページ目)
翌1996-97シーズン、移籍の自由と外国人枠の事実上の撤廃を謳う「ボスマン判決」が施行された。時代の波に乗じてロナウドはバルサ移籍を果たすも、ニリスはPSVに残留した。その後、PSVでニリスとともに活躍したファン・ニステルローイも、同様にマンチェスター・ユナイテッドに移籍。同僚のボウデヴィン・ゼンデン、フィリップ・コクーもバルサへ移籍した。
ニリスがPSVを後にしたのは2000-01シーズン。33歳の時だった。移籍先は前シーズン、プレミアリーグ6位に終わったアストン・ビラ。ニリスのファンとしては、やるせない気持ちに襲われたものだ。
2000年8月27日、ニリスがプレミアデビューを果たしたのはその開幕2戦目で、チェルシーとのホームゲームだった。背番号20。ニリスは開始10分。ビラパークを埋めた地元ファンに挨拶代わりの一発を披露する。左SB、アラン・ライトのグラウンダーの折り返しを、軽く浮かすようにトラップした。フランス代表、フランク・ルブーフの背後からのプレッシャーを受けながら。左足を振り抜いたのは、次の瞬間だった。角度のないところから、浮いたボールを軽業師のごとく、回し蹴りに及んだのだった。
まさに目の覚めるような、ニリスらしい、切れ味鋭い電光石火のファインゴール。だが、これがニリスの現役最後のゴールになった。9月3日に行なわれたイプスウィッチ戦で、相手GKリチャード・ライトと激突。右足のスネを複雑骨折する大ケガを負い、そのまま引退に追い込まれた。
一度でもいいからCLの舞台で見たかった両利きの名手。UEFAカップ準々決勝対バルサ戦、カンプノウで決めた左足の一撃は、いまだ脳裏に焼き付いて離れないのである。
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