バルサのデンベレが本領を発揮。天才独特の「ぬた〜ん」とした切り返し (2ページ目)

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji
  • photo by Getty Images

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 こんなことなら簡単に治りそうだが、バルサもさすがに高額を払って獲得したスターを放っておくわけにもいかず、デンベレ更生班を結成。その甲斐あってか、今季のデンベレはようやく移籍金に見合った活躍を見せている。

<両利きで左右に差がない>

 もう、永久に切り返していられるのではないかと思うほど切り返すデンベレの、もう1つのトレードマークが「両利き」だ。

 たぶん右利きだが、たぶんとしか言えないほど左足もうまい。右でも左でも同じように深い切り返しができる。切り返したあと、どちらの足でも蹴れる。だから、相手はまた切り返されて引っかかる。

 切り返しの「幅」もある。足を外へ踏み出すだけのサイドステップもよく使っているが、一歩が大きいので相手はよく引っかかっている。さらに、シンプルに「速い」。速いから急停止の効果が大きく、逆を取ったあとの加速でも一気に引き離せる。

 両利きで幅があり、さらに速い。この特徴が集約されているのがペナルティーエリア周辺での切り返しであり、とくにボックス内では無敵である。

「右足は蹴ると思わせられれば十分だ」

 Jリーグの初代得点王を獲った、ラモン・ディアスはそう言っていた。アルゼンチンの生んだスーパーストライカーだが、ほとんど左足しか使わない。それでも右足のキックフェイントは持っていた。

 相手も左足だけとわかっていても、右足のキックフェイントにリアリティがあれば、シュートブロックに飛び込まざるを得ない。実際に右で蹴ることはなくても、蹴ると思わせることはできた。

◆ラモン・ディアスのシュートが、わかっていても止められなかった理由>>

 デンベレの場合は、蹴るフリではなく実際に蹴れる。しかも蹴る体勢も容易につくれる。両利きの利点だ。アウトサイドの切り返しによるカットインは右も左もできて、むしろ左のほうが得意かもしれない。

 カットインではボールに触る足より、むしろ立ち足の強さが必要だが、デンベレはそれも左右に差がない。左右どちらにもスムーズにボールを運べるので、つまりシュートコースを簡単につくれる。

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