CL敗退バイエルンに欠けていたのはレバンドフスキではなくネイマール

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Reuters/AFLO

 昨季の決勝の再戦となったチャンピオンズリーグ(CL)準々決勝、バイエルン対パリ・サンジェルマン(PSG)。アリアンツアレーナで行なわれた第1戦(4月8日)では、アウェーのPSGが2-3で先勝していた。

 パルク・デ・プランスで行なわれる第2戦で、バイエルンが逆転勝ちを収めるためには、2点差以上の勝利(あるいは4得点以上しての1点差勝利)が必要になる――といえば、ハードルは高いように聞こえる。バイエルンが逆転勝ちを収める可能性は低そうに感じるが、試合がもつれそうな予感は、キックオフ前からそこはかとなく漂っていた。

 理由は第1戦の終わり方にあった。PSGが前半2点を先取。バイエルンが巻き返して同点に追いつくが、後半23分、PSGがキリアン・エムバペのゴールで2-3とした第1戦の試合経過を振り返れば、後半の後半は、断然バイエルンペースだった。攻めるバイエルン、守るPSGの構図は鮮明になっていた。この流れのまま第2戦に突入するならば、試合はもつれるのではないか。第2戦に向けて注目されたのは、PSGの出方だった。守るのか、攻めるのか。

再三にわたりバイエルンのゴールを脅かしていたネイマール(パリ・サンジェルマン)再三にわたりバイエルンのゴールを脅かしていたネイマール(パリ・サンジェルマン) 基本的にPSGは守った。バイエルンがゲームをコントロールする格好になった。しかし、決定的なチャンスの数で上回ったのはPSGだった。カウンターからネイマール、エムバペ、そしてアンヘル・ディ・マリアの3人にボールが渡ると、PSGのチャンスはたちまち拡大。マヌエル・ノイヤーが守るバイエルンゴールに急接近した。

 前半37分、ネイマールのシュートがバーを直撃。その2分後にもネイマールはポスト直撃弾を放っている。このどちらかが決まっていれば、その瞬間、試合は決したも同然の状態になっていたに違いない。

 もつれることを期待する第三者にとって、歓迎すべき事態が訪れたのは、ネイマールが2度目の「直撃弾」を放ったすぐ後だった。

 前半40分、バイエルンは、キングスレイ・コマンのクロスを中央でトーマス・ミュラー、ダビド・アラバと繋ぎ、エリック・マキシム・シュポモティングが最後に頭で押し込み先制した。

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