CL敗退バイエルンに欠けていたのはレバンドフスキではなくネイマール (2ページ目)
通算スコア3-3。ただし、アウェーゴールで劣るバイエルンが勝利を飾るためにはあと1点が必要になる。残る時間は50分。その時、希望的観測を排除しても、逆転の可能性は50%以上あり、と筆者は見立てていた。
ところが、結果はそうならなかった。バイエルンは逆転弾に相当する2点目のゴールを奪うことなく、PSGの軍門に下った。
さまざまな理由が考えられる。
PSGボールに転じるや、毎度、カウンターの危険に曝されたことが一番だろう。前述の3人、特にネイマールにボールが渡ると、バイエルンは手を焼いた。前半の直撃弾に加え、後半にも少なくとも2度、決定的なピンチを招いている。ピンチは時間にして約5分に一度訪れたが、これが嵩にかかって攻めることができない一番の理由だった。
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バイエルンの攻撃が2度は連続しても、3度は連続しないので、PSGはパニックに陥らないのだ。大きなミスが生まれない。しかもその間に一度、大きなチャンスを掴むので、それが自らの精神状態を楽にしていた。
後ろを固めながら、得点の期待を抱くことができたわけだ。少人数で攻めきる攻撃能力こそ、PSGの特徴になる。前線で構えるアタッカー陣の高い個人能力を活かした、典型的なカウンターサッカーである。この手のサッカーは近年、減少傾向を示していた。イタリアサッカーの衰退とそれは密接な関係があるが、PSGのカウンターはかつてのイタリア以上と言えた。
バイエルンもかつては守備的なカウンターサッカーを十八番にしていたチームである。2000-01シーズンあたりがそのピークになるが、その後、方針を大転換。守備的なサッカーから脱却を図った。ドイツ代表しかり。正統派のサッカーに舵を切った。
その流れでドイツ代表は2014年ブラジルW杯に優勝。バイエルンは2012-13シーズンのCLを制している。その後は惜しいシーズンを送ったが、昨季、再び優勝を飾る。決勝を戦った相手はPSG。スコアこそ1-0だったが、2-0以上でもおかしくない完勝劇だった。
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